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都立小石川攻略は竹の会のお家芸/両国、白鷗のこと/なぜ問いを無視するのか、子どもたちの脳に寄生する、他人の意見を聞かないという習性虫

2020.01.11

桜吹雪

第53章 ただ問いに答えてほしい、素直に問われたことだけに答えてきてほしい

 問いに答えることを全く意に介しない子たちに手を焼いていおります。本文を大雑把にしか読まないで、問いも丁寧に汲み取ることをしない子たちの習性というものはいったいどのようにして形成されてきたのでしょうか。他人の言うことに耳を傾けて頭の中で考えるという習慣は普段の家庭での親子のやりとりの中から育んでいくものなのかなと思います。親子間の会話が内容のない、反応的なやりとりしかない、と頭もそういう構造になるのかな、と思います。見て考える、聞いて考える、考えてから行動する、こういう習慣の形成が必要なのかな、と思うことがあります。ただ世の中というのは、咄嗟に、瞬間的に、間髪を入れずに、行動すべきときがある。これは否定できない。ただだからといって、思考なしの勘に頼る刹那的行動を軸とする生き方をとることには抵抗がある。

今日は、竹の会で実施している作文指導のレジュメ答案を実際に取り上げて、改めて問いに答えるということの意味を考えてほしいと思いました。あまりにも問いを無視する小6のみなさんに対する警告の意味もあります。

竹の会作文新第一シリーズ レジュメ集第40回
平成23年(2011)東京都立白鷗高等学校附属中学校
問題1
棒線①「例えば、若い世代の人々だけにしか理解できない表現があったとすると、その表現を使って年配の人に話しかけても、意味が通じないことになります。」とありますが、具体的にどのような場面が考えられますか。説明しなさい。
問題2
棒線②「人間の内部にあるこうした矛盾」とありますが、何と何が「矛盾」しているのですか。それぞれをA、Bとして二つ答えなさい。また、A、Bそれぞれについて、自分の経験をまじえながら二百字以内で説明しなさい。なお、書き出しや、改行などの空らんや 、や 。や 「 なども、それぞれ字数に数えなさい。
問題3
棒線③「コトバの変異はなくならないと思われます。」と筆者は述べていますが、このことについて、あなたが考えたことを二百字以内でまとめなさい。なお以下略。

解説
問題1
 問いに答えるとは、どういうことか。
まず、答えの形式を問いの形式に合わせることが、大前提となります。
問いの形式は、「どのような場面が考えられますか。説明しなさい。」ですから、答えの形式は、「何何のような場面が考えられる。」と書かなければならない。これをわたしは、オーム返しの法則と呼んでいます。
 

 ○ある答案例
 子供が、おじいちゃんおばあちゃんに、若い人にしか理解できない表現を使う。そのことで会話が成立しない。

 評価

コメント

 問いは、「例えば、若い世代の人々だけにしか理解できない表現があったとすると、その表現を使って年配の人に話しかけても、意味が通じないことになります。」とありますが、具体的にどのような場面が考えられますか。でしたね。「具体的にどのような」とあるのに、「若い人にしか理解できない表現」では、問いに答えてないですよね。それに問題に使われている言葉をそのまま使うのも反則ですよね。この答案は、ちっとも具体的ではない。問いは、具体的な場面を聞いているのに。「どのような」とは、具体的な例で書け、ということです。この答案は、問いに答えるという意識が乏しい。「若い人にしか理解できない表現」では、「どのように」に答えたことにはならない。ここは、「長電話を祖父叱られたときに、祖父に『おじいちゃんは、KYだから嫌い』と言った」ような場面が考えられる、というように答える、べきですよね。

 ○ある答案例
 ふだん話している時、若い人が省略言葉を使っていると、年配の人が「どういう意味?」と聞いてくる。

 評価 C

 コメント 

 この答案は、「〜のような場面が考えられる」と書けば、まだ救われる。省略言葉を具体的に示さなければ、「どのような」という問いに答えたことにはなりませんよね。
 
 ○ある答案例
 けい帯電話しか使ったことのない人に、「そこにあるスマホをとって。」とお願いすること。

 評価

コメント

 答え方の形式が間違っていることは、ともかくとして、そもそもスマホが若者言葉なのか、それよりも、携帯電話しか知らない人に、スマホという言葉を使ったわけで、言葉の変異の問題ではないでしょ。それに若い人が年配者に使うという場面設定も忘れている。

問題2
棒線②「人間の内部にあるこうした矛盾」とありますが、何と何が「矛盾」しているのですか。それぞれをA、Bとして二つ答えなさい。また、A、Bそれぞれについて、自分の経験をまじえながら二百字以内で説明しなさい。なお、書き出しや、改行などの空らんや 、や 。や 「 なども、それぞれ字数に数えなさい。
 コメント
 この問題は、答え方の形式をほとんどの人が誤解していたが、本番では、解答欄があるので、そういうこともないのかと思う。問いは、何と何が矛盾しているの「何と何」をA、Bとして、それぞれついて二百字以内で書くことを求めています。

だから、
A 何
 自分の経験をまじえながら二百字以内で説明
B 何
 自分の経験をまじえながら二百字以内で説明

答え方の形式は、以上のようになる。  

問題3
棒線③「コトバの変異はなくならないと思われます。」と筆者は述べていますが、このことについて、あなたが考えたことを二百字以内でまとめなさい。なお以下略。

 コメント

 あなたは、何を考えましたか。
 筆者は、なぜコトバの変異はなくならない、と思ったのか、これに関して、あなたの考えたことはどうなのか。論拠を示して、あなたの意見を書かなければならない。
 

 ○受検生の答案例
 私は、「コトバの変異はなくならないと思われます。」という筆者の述べたことに対し、共感しました。
 歴史の授業などで、昔の文書を見たりすると、現代の言葉と異なることがたくさんあると思いました。なので、これからも、そういった言葉の変異というものはたくさん見られてと思います。言葉の変異は筆者が言っているように、それぞれ異なった個性を持つ存在である限り、なくならないと考えます。

 評価 
 問題文を引用する意味はない。二百字以内の中に、長々と引用して、自分の意見を論証する紙面がなくなるようなことはしてはならない。「共感しました」では、あなたの考えはないではないですか。昔の文書と現代の言葉を比べて、そこに言葉の変異があると言う前提で書かれているのでしょうか。本文で書かれている言葉の変異とは、異質の理解ですね。もっと本文を丁寧に読みとってほしい。
 あなた自身が、そもそも変異について、どう考えるか、が、問われているのです。
 最後の「言葉の変異は筆者が言っているように、それぞれ異なった個性を持つ存在である限り、なくならないと考えます。」は、あなたの意見ではありません。筆者の言葉です。あなたが、言いたいことが、見えません。筆者の意見ではなく、あなたがどう考えるのか、を書いてください。そのためには、想像力を働かせて、具体的に考えてください。

 ○受検生の答案例
 私は、「コトバの変異はなくならないと思われます。」という言葉について、それは動物の進化と同じだと思います。進化は、自分たちがこの先よりよく生きていけるようにする変化です。キリンも、もとは足も首も短かったけれど、水が飲みやすい、すぐにげられるなどの理由で、今の姿へと進化しました。言語も同じです。自分たちが使いやすい言葉へとアレンジを続けるため、筆者の言う通り、コトバの変異はなくならないと思います。

 評価 
 進化論が、コトバの変異の根拠ですか。
キリンの進化は何万年もかけてですよね。言葉の変異は、数年のことですよ。それに生物的進化と、道具としての言語の変異とは、本質的に異なるものではないでしょうか。
 言葉そのものの変異の根拠について、考えることが、問いに答えることになるとは、考えられないでしょうか。無理に、とっぴな例に準えて説明するのは、決して正しい方法ではありません。

 受検生の答案例
 私はこの文章のようにコトバが人間の個性を形作る重要な要因だと思います。
私は、学校に三年生の頃、転入生が入って来ました。私は、彼と気が合いよく話すようになりました。そして、はなしていて、彼は前向きな人なのだと分かりました。私は、彼と合いいままでの考え方が変わりました。
私は言葉の変異がなくならないということはいろいろな見方が増え、科学などが発達し豊かになると思います。

 評価 
 問われていることが、全く書かれていません。そもそも体験は、何を論証するために書いたのでしょうか。コトバの変異がなくならないということを当然の前提とした最後の一文は、唐突でした。突然言葉の変異に転じて、脈絡もなく、わけがわかりません。総じて、ちょっと何を言っているのか、わかりません。

もう一つ答案例を挙げておきます。
 受検生の答案例
 私は、筆者の考えに共感します。また筆者の言う通り確実にならないと思いました。
私が、なくならないと思ったのは「ギャル語」と読(まま)ばれる言葉も、老人などとは違う個性があるから老人の使っている言葉と違う言葉になったんだと思うからです。またこれから個性が均一にならないならずっと言葉の変異はずっとつづくと思うからです。

評価 
 所々に主語の省略があり、わかりにくい文章になっていると思います。前提を省略したり、主語を省略したりしたため、何を書いているのか、わかりにくい。ただ出題意図はわかって書いているようです。それから、筆者にやたら共感しないでください。

竹の会、つまりわたしの答案例を示しておきます。
 若者という層の中で共通した特徴、つまり言葉、表現すなわち「若者らしい」言葉というものは確かにあります。自分が異なった個性をもつ存在であるということを強調した結果、言葉の変異が生じたとしても、現代では、若者はネットの普及でたちまちのうちに若者全体に共有されて、変異が一般化して変異の意味がないという事態になるように思います。個性を強調したはずがいつの間にか若者の共通語になってしまうということが日常的に起きているのが今の世の中ではないでしょうか。

 竹の会では、すべての作文に、私が書いた答案の例を掲げて、参考にしてもらっております。飽くまでも参考です。決して正解ではありません。事実、わたしは問題を解くたびに、書き直すことがよくあります。わたしは別に正解を書いたつもりはなく、問いに答えるとは、どういうことかを示してみたかっただけです。
 
◉問いに答える
 あなたたちの答案を読んでいると、本当に、問題をよく読んでいないのだなぁと思います。問いの指示を全く無視して、問いと関係のないところで書いている。それにそもそも問題文を正確に読みとっていないですね。問題文は、丁寧に正確に読みとってください。気になるのは、漢字で書いた方が読みやすい言葉をやたらひらがなで書いている人がいることです。やはり漢検は少なくとも3級は必要と思います。竹の会には、過去、小6の中に、漢検2級が2名出ています。うち一人は合格、もう一人は補欠合格でした。
 問いは、三回以上読んでください。まず、答え方の形式を確認してください。オーム返しの法則です。それから、問いの中の、問いの個数をきちんと確認してください。問いの中の問いが、3個なら、その3個の問いにすべて答えてください。「踏まえて」という指示があったら、きちんと踏まえてください。「比較しながら書け」とあれば、きちんと比較して、書いてください。
 あなたたちは、常に、問いについて、想像力を働かせて、問いに答えるという姿勢を貫き通さなければなりません。

 「ものの見方について」という笠信太郎の本があります。受験時代に読んだ本ですが、なんと大学に入って、単位認定のためのレポート提出にもなりました。そのなかの有名な一節が、「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。そしてスペイン人は走ってしまった後で考える。」でした。そういえばシャーロックホームズは、歩きながら考えていたような。さて日本人はどうなのでしょうか。興味のある人は読んでみてください。

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