画像
中学受験 高校受験 受験相談 渋谷で創立30年

結局、素の思考力が問われている

2015.12.14

 おはようございます。師走の14日になりました。竹の会の通常指導は23日が最後になります。受検本番が近づき子も親も落ち着かない日が続くかと思います。子の動揺もさることながら親御さんの動揺も透けて見えて心が曇ります。この時期の過ごし方というのは難しい。特に、親御さんの心の動揺、焦りが子にもたらす影響はいいことはない。

 合格する子の親御さんというのは、不思議と似ています。あまり試験そのものに神経質になっていないというか、自分の子をとにかくあたたかく包み込むような愛を感じます。けっして口出しをしないですね。「わたしは勉強のことはまったくわかりませんので」とか、「先生におまかせしてしまい」とか、「子どもが先生を信頼しているのを見ているだけ」、といった具合に、決して干渉せず、しかし、子どもが悲しめばいっしょに泣き、喜べばいっしょに笑う、じっと見ているだけの愛というものを感じます。少し離れて見ている、そういう親御さんには、幸運が訪れるようですね。

 親が焦っていらいらしては子どもには敏感に影響し、さらに子どもは萎縮してしまい、殻を破れない、そういう顛末をとる親子というのがなんと多いことか。

 そもそも大手に子を通わせる親の大半は、大手塾が「なにかしてくれる」、「なにかしてもらう」という漠然とした依存を抱いているものです。そこからすでにして間違いなのですけれど、この時期は親を狂わせるには十分に情報が錯乱する。平成19年の九段男子は倍率11倍でした。竹の会には1人しかいなかったから、いつもわたしはその一人しかいない受検の子を相手にのんびりとしたものでした。親御さんがわたしのやりかたに口出しすることもなくわたしはやりたいようにやりました。直前だからといって特に変わったこともやってません。特に、猛勉強などということもさせてません。のんびりしたものでした。11倍ということを聞いたときにはさすがに心がざわめきましたが、「なに、バカばかりが受けるからこうなったんだろ、本当にできるヤツは2倍もいない、気にしないでいい」などということを言ったものでした。それから「難しいと思ったら、解くな、白紙でいい」とも言いました。親御さんは教育に高い見識をもたれている方でしたが、わたしのやりかたに一切口だしすることはありませんでしたね。

 大手にお子さんを通わせている親御さんは、これから様々な特別講座を受けさせるのでしょう。「小石川対策」などと謳った様々な搾取企画が組まれていることでしょう。あなたたちはいったい何を追いかけているのでしょうか。何か勘違いしておられるような気がしてなりません。まずは追っかけてばかりの子どもさんの心の中はどのようなものでありましょうか。大切なものを失ったか、失いつつあることに親も子も気づかないままに本番に子を送り込む、それが大半の大手に子どもを通わせる、失敗する親子の例ではないでしょうか。

 いいですか。8倍なら9人受けて、8人落ちる、ということです。大手至上主義の親たちは、大手に通う仲間ばかりの中で、みんな合格するなどとは思ってもいないでしょ。大手で「落ちる」子たちが、合格する子の10倍も20倍もいる、そういうことはすっかり頭の中から落ちている。大手に通うから受かるのではなくて、大手に通いながら大量の子が落ちている、そういうところが空白なんです。大手はすごい数の合格者が出たというけれど、大手に通う子たちのほとんど受かっているような数を言い立てるけど、これはトリックでしょ。数百人もいる大手の子なら、数百人単位で落ちているわけです。落ちてる人数は半端ではない。夥しい数の子が落ちているのが大手です。なのに大手を信頼するその精神構造が笑える。「「自分の子は例外だ」ということでしょ。例外の子が何百人もいて親がそれで得心しているのが大手の親の精神構造です。

 千人、二千人も落ちているのが大手なんです。「ばっかじゃないの」というのがだれかの口癖ですけど、ほんとうにばっかじゃないの。

 過去問を真似て作った教材なんかを子どもに与えてばっかじゃないの。「小石川そっくり」という講座も笑えます。親も子も狂ったように飛びついて、高いカネを惜しげもなく注ぎ込む。競馬狂いの親父とどこが違うのか。この時期になると書店などに殺気だった母親が目立つ。問題集やらなにやら買い漁っているらしい。ばっかじゃないの。母親の心がこれだけ乱れて子にいい影響など期待できるはずもない。子は子で母親に買い与えられた参考書をやらされる。ばっかじゃないの。

 いいですか。教材なんてどうでもいいんです。教材は最初から「手段」だったでしょ。そもそも「目的」からして、知識の獲得としか考えていないから、手段と目的がわけのわからんことになっている。どちらが目的でどちらが手段なのかわからん。「そっくり問題」なんか作られるとたちまち心がなびく。

 いいですか。思考力をつけるために教材はあるのです。いつしか大量の教材を追い回すだけで、思考力をつける、ということはすっかり忘れて、教材に振り回されて、できないと嘆く。ばっかじゃないの。

 思考力をつけるのが、最大の対策でしょ。だから教材はもちろん思考力ということから吟味する。「そっくり問題」だから思考にいい、と考える単細胞の親が大手の親でわたしもほっとしています。自ら死地に子を追い立てる、駆り立てるバカ親が集合するのが大手ならそれはそれで勝手にやってください、というだけでしょ。

 この時期を心静かに迎えられる、過ごせること、焦りは禁物です。もうここまできたらできることは知れています。思考を大切に、考えることこそすべてです。知らなきゃ書けない、いやそのときだって、普段培った思考の力がなんとかしてくれますよ。そう、なんとかしてくれる、なんとかなる、そう自分の考える力を信頼してこそ考える力ものびのびと発揮できると思いませんか。

ページトップへ