2024.11.07
🟧αとβ
βというのは、Bのことである。竹の会では、季節講習はこれまでβを原則としてきた。βというのは、節約型、一般に、都立志望の家庭のための、受験にカネをかけられない家庭を想定したコースである。
βは、内申が高くて学校の優等生を念頭に置いたものであり、家庭学習のできる、責任感のある子を想定している。
そうでない子が、βを取ってもAランクの都立へ行けることはない。
そもそも家庭学習のできない子に、時間の少ない設定は、無理なのである。
都立中高一貫校は、家庭学習のできない子には無理である。竹の会の節約型コースは、例えば、夏なら家庭学習10時間を前提したものである。実行できなければ合格はない。形だけ10時間やったと報告してきてもその後の実力チェックですぐバレる。受験の結果からわかるのは、小学生に、家庭学習、有意的家庭学習はほとんど期待できないことである。2年前全落ちした年、コースは節約型しかなかった。夏には家庭学習10時間を求めたが、報告通りにやった者はおそらく皆無だろう。その家庭学習が、どれだけ実力をつけられたか、結果から見るとほとんど意味がなかったと思われる。
この時、わたしは、悟ったのである。時間をかけてやらないと、この子たちは決して受かることはないことを。家庭学習は形ばかりの時間で、中身のないものだったに違いない。
竹の会の夏は、代々木教室の時代は、Sコースが原則であった。節約型コースは設けた。しかし、合格者はSコースからだった。節約型は底辺都立、低偏差値私立、単願推薦の子たちの定番コースだった。なにしろ中3になったので、「そろそろ塾を」などという親が普通にいて、親世代には高校さえ出ていればいい、という低学歴層が多かった。だからSコースに来る生徒は、高学歴の親であり、少数派であった。東京というのは、そういう層が多かったのだ。今でこそ竹の会は東京全区をエリアにしているが。かつては渋谷区の中の代々木中と上原中の生徒しか来ない地元密着型の塾であったのだ。
平成17年に始まった公立中高一貫校制度は東京の中学受験とは無縁の,しかし勉強熱心な,経済的に余裕のない層には希望の光だったのだろう。今では経済的に余裕のある層が受験する学校となってしまった。都立中高一貫校狙いの親層も最初は私立受験はできない家庭が中心だった。だから習い事、稽古事は熱心で勉強に優先させる家庭ばかりだった。そういう家庭が塾に来るにしても、節約型であり、それでも「高い」と子どもたちの口を借りて親の声が聞こえてきたものだ。
それでも内申「よくできる」が、8割以上の子が来ていたときはよかったが、最近のように、「よくできる」が半分そこそこの子たちでは、節約型で受かるのは無理であった。加えて私立難関受験生が大挙公立中高一貫校を併願するようになると、節約型の経済的に限界のある家庭の子達が受かることは困難となってしまった。
竹の会は、もともと受験成功はカネをかける家庭に限られるということを知っていた。平成10年代までは,竹の会の成功者は、経済的に余裕のある層に限られていたのだ。青山学院高等部合格というけれど青山学院に出せる家庭の子しか受けられない、ことは当然ですよね。経済的に余裕がない層は、絶対都立であり、都立に落ちたら私立単願で、高卒、よくて専門学校止まりの子たちばかりであったと思います。渋谷は都会かもしれないが,界隈には田舎よりもずっと学歴など頭にない家庭が生活していたと思います。わたしが不思議に思ったのは、そういう家庭層も私立高校だけは出していた、ということでした。塾などの教育費は節約、できる限り出さないようにしてきたが、カネのかかる私立高校にはカネを出していたのです。私立に出せるのならどうして塾にカネをかけて上位の都立をめざさないのか不思議でした。小学生も東京の親たちはピアノやらバトンやらバレーやら空手やら野球やらサッカーやら日本舞踊やらと多種多様な習い事・稽古事を小2あたりから夢中にやらせて受検で塾に入っても習い事は続ける,いやそちらの方が優先されるという家庭ばかりでした。当然そんなことをやっていたら落ちるに決まっていますから,区立中に進むわけです。そしてそのほとんどの子は上述したお決まりのコースをたどるのです。
昔から真理は何も変わっていません。時間をかければ成功の確率が上がり、かけなければ落ちて当然です。節約型で、成功するのは限られた場合です。学校の優等生かつ知能が高い、家庭学習を主体的にかつ責任をもってやれる、そういう子です。しかし、そういう子でも難関私立、今の独自高都立は無理でしょう。せいぜい駒場でしょう。というか、今はカネをかけない優等生が落ちこぼれる時代です。よほど卓越した子のみが推薦で上位の都立に入ることがある。しかし,それは入学後地獄なのはすぐわかります。上位の,特に日比谷などのトップ都立には開成・慶應女子・慶応などの合格者・不合格者が大挙入学します。上位はこういう人たちで占められるのです。推薦でのんびり入学した生徒がどうなるか推して知るべしでしょう。
わたしは今の受検・受験が,かつてとは違って,優等生が家庭学習だけで受かる制度にはなっていないと悟りました。昔「手をかけて」受からせたSコースのようなシステムでなければとても合格などできないと悟りました。2年前のゼン落ちは指導時間不足が一番大きかった。早稲田に名前を載せた子たちも小6になって大手から来た子や節約型しか取れない家庭の子でした。少なくとも小5から時間をかけるほど有利なことはわかっています。小5までをのんびり過ごした子というのは、おそらく習い事や稽古事を軸に生活している子なのであろうかと思いますが,そういう子が受かることはありません。基礎学力だけでもついてよかったと小学を終えるのがほとんどなのかと思います。