2022.05.20
◎大切なのは方法ではなくて、知識の正確さではないか
人はできないと方法が悪いからと考えがちである。ちょっと待ってくれ、立ち止まってよく考えてくれ。足りないのは、ほんとうに方法なのでしょうか。親は子ができない、成績が落ちると、決まって、うちの子は勉強のやり方がわからないという。「先生、うちの子は勉強のやりかたがわかっていないのだと思います。先生の方でやり方を教えてあげてはいただけないでしょうか」とは、よくわたしが言われてきた言葉でした。
しかし、違うのではないか。やり方ではなくて、そもそもの勉強というものを全くやっていませんでしたよ。やり方を云々する人はまず勉強そのものをやってません。方法というのは、自分が勉強やる中で自然に身につけていくものです。あれこれ失敗して、こうした方がよかったかな、とか悩みながら見つけていくものです。そもそも方法で成績が上がれば世話はない。
知識の取り扱い説明書について、どうしても書き加えなければならないことがある。
受験に合格するには、知識は、網羅的ではなければいけないのか。この問題である。よく知識を完全にするとも言う。
他方で、知識は重要なものにしぼればいいという人もいる。常識的にはどうなのであろうか。
網羅的、完全主義には、重要な欠陥がある。思考が働かなくなるのだ。知識を追う者は知識に頼るようになるからだ。
知識が少なければ、人間というのは、どうしても、考えざるを得ない。その時、少ない知識が、不正確だったら、推理は誤った方向に行く。正確な知識こそ試験の方法なのである。曖昧な知識をなくすこと、これこそが、おそらく勉強の核心なのではないか。方法論という病からの、おそらく唯一の解放手段になるのではないか。広げすぎるな。どんなにいいと言われる参考書でも7回読めないなら、無価値と思え。自分の能力の可能な範囲を考えろ。その上で、やるべきものを絞る。原則1冊である。やらないのは、やれないからだ。
もちろん戦略は必要である。簡単に済ませればいいところは簡単に済ませる。必要以上に深く、細かくやればやるほど、重要なところが、疎かになる。薄くなる。
常に、どう問われるかを、想定せよ。問われる形に合わせて、テキストを読むのだ。もちろん紙に書けとか、紙にまとめろとかいうことではない。とにかく、読むのだ。
◎国語の解き方第6回
前回の続きです。まず、段落の構造論から言えるのは、「第一段落最初の文、つまり一行目に、文章全体のテーマを示すことが多いということです。
もちろん例外的な文章もあります。いきなり具体例から始まる文章や、前置きの文章、一般常識を書く文章などがあります。ただ最後一般文章を書くというのは、実は、筆者は、一般とは対立している意見を持っているということを暗に示唆しているのです。
たいていは、一行目には、話題の提示、問題提起、筆者の意見などが書かれるのが通常です。そして、この一行目にいきなり傍線が引かれている場合、まちがいなくその傍線問題の解答根拠は末尾にあるということを知っておいてください。文章の構造から考えるとそうなるのです。
自己流に固執する人は、結局失敗する!
竹の会では、算数、特に割合について、型から学ばせる指導をしております。これにはわたしなりの根拠があります。かつて大学の科目に体育があり、好きなスポーツを選べました。わたしはテニスを選択しましたが、なにせ野外の集団指導なので、ときどき講師の言葉も聞き取れず、結局「型」というものがつかめませんでした。そうなのです。テニスにしても、ゴルフにしても、テレビで見るレッスンプロはまず型を教えています。これが基本です。この型のところを自己流でやって将来一流選手になれるのでしょうか。
竹の会で学ぶ以上、自己流は禁止です。試験に失敗する小学生は、型を理解できないためか、それとも自分流で解けたことで型を軽視したか、のどちらかです。それから算数なんかを親になどに聞いて解いたことにする子というのはまず模試で点が知れない。だから必然落ちます。
この国語の解き方講義は国語の解き方の型を教えるものです。自己流の読み方を捨てて下さい。わたしはこの講義を書くために、数冊の参考本を読みかつ参照しております。
さて、それでは、さらに講義を続けます。
問題提起型の文章は、筆者が質問して筆者がその答え、つまり筆者の意見を用意している、つまりセットになっているのです。そう考えると、この型の文章の構造も予想しやすくなります。自作自演型文章とでも呼んでおきます。自分で問題を出して、自分で答えるというものだからです。
それではこの型の文章は、どのような文章構造をとるのでしょうか。実は2つしかありません。
一つは、問題→説明→答え、もう一つは、問題→答え→説明、です。
上の2つを意識して読んでください。
ところでそもそも問題提起の型はどう表現されているものなのでしょうか。
これも2つあります。①疑問表現 ②提案 です。
①は要するに、「どういう、どうして~か」という疑問文の形です。2択をせまる文と言ってもいいでしょう。
②は、「~を考えてみましょう」みたいな文ですす。
①の疑問表現には、2種類の型があります。
①反語表現型 疑問表現の形をとりながら、実は、主張の反対内容を疑問の形で表しただけのものです。「だれがしってるのだろうか」と言いながら「いや、誰も知らないだろう」と筆者の意見が隠されている。
②問題提起型 これは、「はい、いいえ」では答えられないところに特徴があります。「どうすべきか」「何か」と問いが投げかけられます。