2021.08.25
◎子どもの心を開かせる指導
気づきの指導の妙 にたどり着くまで
最近の私の指導には、気づきの指導というものが、必ず伏線として張られている。
子どもたちは、私の隠れた意図に気づくことはない。
例えば、計算を見るときは、まず、紙の一行目に、問題を写す、ように指導する。
第二行から、計算の変化を書いていく。元の計算がどう変化していくか、目に見えるかたちで示すのだ。変化とは、まず計算できるところをやる。やった結果(変化)を次の行に書く、という意味である。以下同じ。
まず、このセオリー通りに計算過程を書いているか、チェックする。
その上で、計算の優先順位通りに計算しているか、をチェックする。
カッコ優先は? ×÷を優先しているか? ÷を×に変えているか、そのときに逆数にしているか、小数の扱いは的確か? 都合そんなところをチェックしていく。初心者ならチェック項目を声に出しながらチェックしていく。すると必ず「あっ」と何かに気づいて、サッと席に戻る。
割合問題の指導なら、これも相手が陥っていそうなところをわざと声に出しながらチェックしていく。「おかしい」というところに気づかせるのだ。だから指導のときは、問題の核心に連なる言葉をわざと声に出す。その言葉の深い意味を何気につぶやく。説明するときは、いちいち定義をまず言葉で確認して、「なら」と進める。この問題のこの文言は、この定義のことだな、とか、問題の核心部分から何を読み取るかを示す。これは〜のことだよな、とか、子どもがどこで陥穽に落ち込んでいるのか、問題のどの部分を誤解しているのか、勘違いしているのか、そういうことを気づかせるようにする。「図をかけ」というと、およそ問題解決には資することのない、図をかいてくる。面積図をかいて、というと、わけのわからん図をかいてくる。面積図が何かわかっていないのだ。低学年ならしかたない。しかし、高学年だと、これなんか絶望的なのかな、とよく思う。
そうなのだ。どんなに真面目であっても、よく勉強しても、図もかけない、そういう子が受検をするのは、土台無理な相談なのだ。親にはなかなかわかってもらえない。通えば、できるようになる、と信じているのか。そんなことはない。地道に努力をすればできるようになる、と思ってするのか。そんなことはない。少なくとも入会試験に合格はしていないと無理かな、というのはある。入会試験が箸にも棒にもかからないというのは、やはり成功の蓋然性は低い。入会試験に合格しても結局伸びないということもよくある。今年の桜修館合格者には入会試験で仮合格の子がいた。仮合格でも正規合格でも算数の才能が開く子が成功する。入会試験を算数に特化した内容にすることもこれからは考えていかなければならないかもしれない。
あと試験というのは、どうも天性のセンスの良さというのが、あるような気がする。試験のセンスのいい子というのがいるのである。
どんなときでも模試はいい、という子がいる。こういう子は受かる。逆に、模試の悪い子が受かることはほとんどないと考えていい。
親も早々に自分の子どもの能力を見切って観念した方がいい。どんなに期待してもうまくいくことはない。
早々と高校受験に切りかえるか、ということであるが、高校受験も算数ができていた子が成功する蓋然性が高いのだ。竹の会で小学低学年から算数の思考を鍛えられてきた子はとにかく中学に入っても数学が滅法できる。高校受験も詰まるところ数学勝負なのだ。七都立に受かるには、数学ができなければ無理である。共通問題の数学なら100点が取れるほどでなければ無理である。少なくとも白紙問題があれば合格の目はほぼない。英語は、数学のような才能はいらない。好きこそものの上手なれ!が英語という科目だ。好きだから毎日夢中にやる。これが英語だ。英語ができない生徒はたまにしかやらないか、ほとんどやらないから、ますます英語ができないことになる。竹の会で言えば、とにかく毎日レジュメを何冊かやることだ。
高校受験は、理科、社会が鍵を握る。3年の8月のV模擬で理科、社会は最低でも80点はとらなければ七都立は無理である。竹の会では、早期に高校入試の理科社会を仕上げることを命じている。使う教材は、かつて日比谷に合格した女子がこのテキストを50回まわして各100点を取ったという、曰く付きのテキストである。竹の会では、小6の3月に渡すことにしている。理想は中1までに仕上げることである。仕上げるとは、テキストの基本問題のどれを訊かれても答えられるようになっていること、これである。竹の会の推奨する方法は、問題を解くことではない。まず解答を見ながら、答をテキストに書きこむ。次に、それを読む。それだけである。例えば、電流の問題とか、化学式とか、天体とか、わからないことがあればそのためのレジュメがある。それでもわからなければわたしが直接説明する。とにかく、中1で仕上げることだ。そうすれば中2で過去問で練習できる。中3ではもう遅い。第一中3になってからではv模擬で60点前後が関の山だろ。
こうして、高校受験に切りかえると言っても簡単ではない。
竹の会で引き受けられる中学生は例年1、2名が限界です。中学は勉強した者が勝ちです。前倒し、先取りで早く早く進めた者が七都立に行ける、それだけのことです。したがって、勉強しない中学生は早々に退塾するしかない。実際これまでに竹の会に受験までいた中学生は1人ないし0人です。たいていは中1の終わる頃に消えていきます。勉強しない中学生は、無理ゲー社会の敗者となるしかない。