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子どもの親自慢の心理

2023.04.18

 

◎子どもの親自慢の心理

 子どもというのは、学校や塾で家のことは一切、ほとんど喋らないのが普通だと思いますが、友だちの間ではどうなのでしょうか。塾の中でも教室全体に聞こえるように家のことを話す開放的な性格の子もいますが、これは普通は少数派です。家で何があったと細かに話さずにはいられないという子もいます。自分の胸に納めきれないのでしょう。そういう子は事実なら親の恥とも思わないのか、あるいは心配事として打ち明けずにはいられないのか、だれかに言うことで少しだけ安心するからなのか、とにかく話します。

 親の自慢は、たいてい学歴自慢、職業自慢、それから年収自慢ですね。

 さて、以下の文章は、福本伸行「無頼伝 涯②」講談社からの引用です。これを最初に引用したのは、勢古浩爾「まれに見るバカ」羊泉社 です。ですから、これは孫引用になります。

 マンガの主人公13歳の中学生の涯少年の独言です。級友たちが、じぶんの親を小馬鹿にしたような話しをしているのを見聞きして、以下のように言うのです。

 喰わせてもらってるくせに! 自分ではビタ一文稼がず、生活の全てを親がかりのくせに、その肝腎な部分は棚上げにして、罵詈雑言、親の出来不出来を宣うのは見苦しい。で、そんなに嫌いなら、中学を出たらすぐ独立か思いきや、そうでなく、どうもその先、高校、大学、いや働くようになっても、金、世話だけは焼き続けてもらうつもりらしかった!

 なに、それ? まるで理解らない。どう考えても、働く親父、世話を焼く母の方が立派だった。

 さらに、涯は、考える。

 自由。そう、これが自由だ。自由は何でも出来る事じゃない。自由とは自分に由ることだ。となれば当然限られる。非力なオレなら尚更だ。限られる!やれないことだらけだ。オートバイも海外旅行もこじゃれたシャツも贅沢な食事もない。……しかし、それはオレの身の丈によって貧しいのだから、文句を言うのは筋違い。甘んじるべきだと思った! どうしてもそれがイヤだと言うのなら、自分の力を伸ばせばいいのだ。それを成せない以上、不遇は当然、そう納得した! そうだ。何でこんな簡単な事に今まで気がつかなかったのか。自分によって生活の全てが決まるから現実なのだ!

 昨今は、親ガチャという言葉が流行っているようです。カネのある親の子に生まれたからラッキー、いい職業の親の子に生まれたからラッキー、学歴の高い親の子に生まれたからラッキーというわけです。先の引用した涯の言葉は、どちらの親なのかはわかりませんが、少なくとも子どもを育てるために懸命に働いている親だと思います。小馬鹿にするからにはもしかしたら親ガチャでいう貧乏くじのほうの親かもしれません。

 じぶんの親を小馬鹿にする級友を軽蔑する言葉として書かれていますが、親ガチャでラッキーな子にもそのままあたる言葉のように思えます。

「自分によって生活の全てが決まるから現実なのだ!」

 だから今勉強して、「自分の力を伸ばせばいいのだ!」「オレの身の丈によって貧しいのだから」

 今勉強しなければ自分の身の丈は今のままだ。それがイヤなら勉強するしかないのだ。それが現実なのだ。

 

 

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