2023.05.03
⭕️都立中高一貫校の処し方の転換点
令和に入って都立中高一貫校は、明確に、これまでの中学受験をするほどのカネはないが、授業料がただ同然の都立ならとわんさか集まる層の排除へと必然的に転換してきたのではないか。
都立中高一貫校が難関私立中学の併願校として機能し始めて、開成中、麻布中の合格者がその選択肢の一つとして入れ始めたときから、都立中学はその性質を変じるしかなかった。今や中学受験生の併願校としての地位を確定づけられた都立中高一貫校は、これまでの私立には経済的余裕はないが、都立ならと飛びついた経済層をじわじわと排除する方向に動いている。
中学受験を志す家庭は、早くて小3、平均小4あたりから大手進学塾に通い、年間にかける塾費用は、かなりの額に及ぶ。中には、大手塾のほかに、補習塾や家庭教師にカネを使う家庭も多い。なんとしてでも合格という執念がそうさせるのであろう。いくらでもカネをかけられる層である。
年間の塾費用は200万を軽く超える。通常授業のほか、季節講習、土曜特訓、日曜特訓、お盆特訓、正月特訓,夏期合宿,正月合宿など特別とつくものにはにすべて出て、学力をつけてきた子たちである。そういう子たちが、都立中高一貫校に傾れ込んできた。そういうことである。
これまで都立中高一貫校対策の大手塾に「それなり」のカネをかけてきた家庭では、太刀打ちできないことは、だれでもわかるでしょ。
竹の会でも、進学塾並みにカリキュラムを組まなければ、とても対応できないことは早くからわかっていた。しかし、これまでの講習設定でも「高い」という家庭があって、思いきったカリキュラムは組めないままに従来のままにきた。落ちる前提のカリキュラムである。大手がかける時間量にはとても及ばない時間設定で対応するしかない。そうなると家庭学習時間に期待するしかないのだが,しかし、指導なしの家庭学習ではさしたる効果も期待できないのが現実である。
最低の講習設定で募集しても、経済的理由で参加しないとか、さらに最低のコース選択をするとか、されると、もはや受験には対応は無理なところにきているのか、と思ってしまいます。
大手のようにカネがかけられる層でなければ、都立中高一貫校ももはや無理な段階にきたというべきであろう。
これまでどおりのカリキュラムを組んでも、合格には限りなく遠くなるのだから,打つ手なしである。これは令和に入って顕著な変化である。新型コロナの影響というか、これを口実に,講習には出ない子も続出して、出ても安く済まそう、という公立しかないという親たちが、それでも合格をと期待しても、もはや「できない」相談になったというのが昨今の都立戦線である。公立志向の親たちがまだそのことに気づいていないのが致命的ではあった。
そういう環境の中で、竹の会は、ジレンマのまっただ中にあった。
大手進学塾に負けないだけの時間をかけたい。しかし、それはできない。できなければ合格はない。合格できなかったと責める親が普通並みのカリキュラムだけで済ませてきたことはだれも問題にしないのだから。
これが素朴な都立受検層の限界なのか、と思います。講習費用までは払えない、そういう家庭は、もはや合格見込みの受検はできない、というのが現実です。
私立中学受験層に都立中高一貫校オンリーの家庭がまるでところてんのように迫り出されていくのが「今」の現実です。
昨今の中学入試は活況を呈しています。
2023年度首都圏中学入試の受験者数は6万6500人に達し、これは過去最多ということです。
また、受験率も22%と過去最高を記録しております。
今、人気なのは、「○○大学附属中学校」や「○○大学系属校」です。
・附属校とは,大学と同じ学校法人が運営する学校です。
・系属校とは,大学と別の学校法人が運営する学校です。
早稲田大学を例にしますと、
経営母体が早稲田大学と同一法人なら,原則として高校卒業後は早稲田大学に進学する「附属校」は下記の2校に限られています。
早稲田大学高等学院・高等学院中学部(男子校)
早稲田大学本庄高等学院(男女共学)
「系属校」の経営母体は別の法人です。
・学校名称に「早稲田」を冠する学校
この場合,早稲田大学への推薦枠数は学校ごとに異なります。
系列校の例
早稲田実業学校 初等部・中等部・高等部(男女共学)推薦枠約100%
早稲田中学校・高等学校(男子校)推薦枠約50%
早稲田渋谷シンガポール校(男女共学)推薦枠約80%
早稲田摂陵中学校・高等学校(男女共学)推薦枠約10%
早稲田佐賀中学校・高等学校(男女共学)推薦枠約50%
以上のようです。
推薦100%というのは、裏があり、実際は附属に入ったものの、学業に馴染まず、あるいはついていけず、脱落する子も多いのです。100%の中にはこうした中途退学者は含まれていません。そういう中での100%です。
最近話題となっているのは,「日本学園中学校・高等学校」
2026年4月に「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」に改名予定
2029年度からは推薦入学試験によっておよそ7割が明治大学に進学できるようになる予定です。
〇学校法人明治大学が運営する附属校
「明治大学付属明治高等学校・中学校」
〇系属校
・「明治大学付属中野中学・高等学校」
・「明治大学付属中野八王子中学高等学校」
高校受験もカネをかけなければ受かりません。時間をかける、指導に手をかける、そういうことをやらなければ受からないのです。たったの週2回で受験直前の1月まで、季節講習も普通か、さらに少ない時間、それで受かるわけはないのです。竹の会を「高い」と言う人がいるのなら,大手に行ってみればいいのです。かけられるだけの時間と費用をかけられる設定になっています。そこにみんな迷いなく申し込む、そういう現実がお分かりになると思います。
最低で済まそう、安く済まそう、そういう人は、失敗を覚悟したほうがいいと思います。落ちて、結局塾代惜しんだ結果、100万以上のカネかけて、私立にやることになる、そういう例なら腐るほど見てきました。都立なら月1万未満で済んだ話しです。わたしは、熱心な生徒には、直前は持ち出しで、教材費は一切取らないで、手をかけた指導をしています。受験にカネをかけないで、ギリギリ最低で済まそうというなら、失敗は想定内とはっきり言うしかありません。
落ちて恨まれる、しかし、落ちる選択しかしないのだから、最初からこのカリキュラムでは合格はないですよ、と言った方がよかったのか。
時間をかけられるだけかけられない、それで合格しないと塾を責める、そういうジレンマに、竹の会のような小さな、個人塾は立たされている。
安いカネで時間数もある、そういう塾があるのなら、是非そういう塾に行ってもらいたい。