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塾の仕事とは、何か

2022.05.30

「新草枕」テーマ

ノートにとる勉強は、知識偏重に軸を置いたやり方

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塾の仕事とは、何か
 受験塾、進学塾なら、合格に導くこと、である。しかし、不合格であっても、塾に責任があるかといえば、責任の内容にもよるが、合否は、全てが塾に通い、8倍とか、10倍とか、の試験を受けるのであり、最初から合否はわからない前提である。試験とはそういうものである。不合格だからと大手が責任をとる話しなんて聞いたことがない。塾としては、合格レベルに持っていくために、手助けするだけである。勉強するのは、本人であり、本人の能力も大いに関係するから、さらに結果は不透明となる。試験というものは、試験にもよるが落ちることが普通なのが、普通なのである。
 思ったように実力をつけられなかった、模試の結果が悪かった、これで塾は責任を取れと言う人がいるのには驚いた。子どもというのは、置かれた状況はそれこそ様々である。ほとんど能力のない子もいる。教えることに限界のある子もいる。ある程度まではわからせることができるという子もいる。勉強というものをしないという子もいる。理解に時間のかかる子もいる。塾にはいろいろな子がいるのである。早くから例えば小2から来ていたら伸びただろう子が、他塾で一年なり二年なり通ったことで、機会を逸することもある。
 塾の責任というけれども、わたしには、何を言っているのか、ちょっとどころかさっぱりわかりません。
 そういうことを踏まえて、塾の仕事とは、何か、である。
 もちろん無事合格まで導くことができたなら、それがベストです。しかし、すべての子がそうならないのが世の中でしょ。
 最初から合格は無理だとわかっている子について、どういう指導をすればいいのか、ということである。
 人間社会というのは、実は、そういう子たちで溢れている。
 この場合も、もしかしたら高校入試で伸びるかも、そういうこともある。高校入試も無理、そういう判断もある。
 このとき、わたしが考えるのはせめて、最低限の基礎はつけておいてあげたい、それが私にできる唯一のことなのだから、である。
 世の中の親の誤解、子どもの誤信、親は、塾に通えばできるようになる、受かる、本当にそう信じているのかしら。子は塾に通えばできるようになる、これも幻想である。そう信じているのならそれはない。しかも、その塾とは、ほとんどが大手塾になる。大きいから、規模が大きいから、と簡単に信頼する。信用する。そちらのほうが無責任であり、恐い。単純に大きいから「いい」と考える発想が恐い。学生講師を疑うこともなく、教材をありがたがり、予習復習も頑張ってみた、そして一年経ち二年経ち、わかったこと、それは、入塾前と何も変わっていない実力だったということです。計算は相変わらず時間がかかり、たいてい間違っている。割合は、公式にあてはめること、習った解き方を思い出すこと、と理解しているふしがある。頭を使い、本来の、つまり、問題事実を分析して、図にかき、解法の糸口を見つけるという、そういう使い方をしてきていない。
 塾の仕事というのは、そういう子どもを育てることにある、わたしはそう思う。
 もともと合格など無理だった子たちが、たまたま竹の会のような小塾に出会って、とにかくも計算をマスターし、割合の基本を理解した、それだけで精一杯だった、模試で証明書も取れない子たちだった。しかし、わたしはそういう子らにもきちんと仕事、塾として果たすべき仕事はした。
 わたしは、大手のように、無理だと思う子が塾を去ることを決して引き止めることはしない。いや竹の会では無理だから、受検は無理だから、竹の会はやめて、ほかの道を選択をしてほしい、と何度も言ってきた。
 ただ無理矢理、強制してやめさせる、そういうことはしてこなかった。子どもを傷つけることはできない。
 そういう子たちを見たくはなかった。だから内申の「よくできる」が8割以上ある、学校の優等生に来てほしかった。
 今の都立中は、優等生でも受からない。よくそう思う。しかし、そういう子の中に光る原石を見つける、光るのは、優等生のすべてじゃない、ほんの一部だ、
 受かるのは、才能がある子だけだ。努力しても才能がなければ受からない。才能がある子が努力して初めて受かる試験なのだ、
 才能があっても、落ちる。だからわたしはそういう子には高校入試で、成功すればいい、だから都立中には受かりそうにないが、高校入試ならものになりそうな子は高校入試に切り替えるほうが賢い選択だと薦めることもある。
 事実、24年に両国を落ちた子は竹の会で3年後には、都立戸山に受かり、4年後に、一橋大に合格している。竹の会で基礎を鍛えた子は、高校受験で成功する蓋然性が非常に高い、のだ。
 今の都立中は、難関私立中受験者の併願先として、常態化して久しい。芝中、巣鴨レベルの偏差値の子がほとんど併願する。開成などの難関受験者もかなりの数が併願する。小石川の東大合格者が増えるのは必然の結果といえる。
 だから公立中高一貫校の対策を謳う大手塾では勝てないのだ。
 都立中高一貫校をめざすのはかまわない。むしろいいことだ。それは高校入試に備えることになるからだ。しかし、塾は選ばなければならない。というか基本を鍛えてくれる塾はあるのか、あるのだろうか、わたしは甚だ疑問に思っている。それは大手であれ、中手であれ、個人塾であれ、基本がしっかり身についている子にほとんど出会ったことがないからだ。
 

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