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算数と道具  

2021.10.07

 

 

算数と道具
 ノミの効用
 ノミでなければどうにもできないものがある。例えば、ヒノキの角材に3㎝四方、深さ2㎝の穴を開けたいとき、これはノミがなければどうにもならない。これである。
 算数、数学の問題を解くとき、道具に何を使うか、使ったらいいか、使うべきか、というのは、このノミの例に雄弁である。
 ノミを使うべきときにカッターでなんとかしようとする。しかし、ノミ捌きのようにはいかない。適材適所は真理である。鶏鳴狗盗というのもある。
 算数、数学では、ノミはその度に「造る」。身丈のいいノミをつくる。面積図はノミである。しかし、問題に即した、合ったノミを製作しなければならない。そこが工夫であり、創造である。俗にいう「考える」の内容の一つである。ノミは多様である。ダイヤグラムもノミの種である。線分図はシンプルな道具であるが、わたしが、最近造ったノミは、小学生版連立方程式型の問題のために作ったものである。大きさの違う四角を2種類用意して連立型に並べてみる。たいてい二種の関係性があたえられるから、2種類の図を造る。そこで「差」をとる。すると発見するであろう。
 ダイヤグラムを使うときは、定番が、相似比を利用するパターン、ちょっと凝ったのになると、時間の比を読み取って逆比を取って速さの比みたいなことをやる。
 「考える」というとき、それはその問題にあった道具が何かと思料すること、そこから道具を造ること、これはなかなか想像力を要することもちろんである。そうなのです。算数というのは、想像力という才能を天賦の才として持ち合わせた者が絶対に有利なのです。いい道具の発見は想像力の賜物です。道具を事実に合わせて改造するのも想像力です。新たな道具を工夫することもあるかもしれない。紙と鉛筆は宝ですね。
 算数を解く面白さというのは、事実から事実関係に即した図をかく図をかくというのは、そこで適材適所とされるノミを造ることである。図さえかければ答えは自ずと見えてくる。これまで見えなかったものが見えてくる。算数というのは、そういうものである。
 さて、そうなるとあなたたちは、これから算数と対するに如何に振る舞えばいいのか見えてくる。
 まず問題を誤解なく読み取ることが大切である。悲しいかな、ほとんどの小学生は、この入り口で既にして脱落している。
 事実を図にする道具を何にするか考える。ノミを使うとして、どのノミにするかである。算数で考えるとはここでの思考をめぐらすことをいう。
 ノミが決まれば図をかく。事実をさながらに投射する。事実の概要を余すところなく、過不足なく図に移すのである。
 図がかけたら、図を読む。比で見る。差を考える。もし答えの糸口が見えてこないなら、図を見直す。もう一度道具から作り直してみる。算数を考えるとは、都合そのようなことをいう。
  

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