2022.11.01
◎なぜ親はそんなに結論を急ぐのか
時として母親の暴走が止まらない。もう少し冷静に物事を判断できないのか、今の判断ではなく、その選択がもたらす近い将来の現実を見てほしいものだ。
私は高校入試が専門だから、どうしても伸び悩む小学生を見ていると、この子は、高校入試で勝負した方がいいのではないか、と思うことがある。もちろん仮に高校入試にきりかえても無理だろうな、という子もいる。
だから、わたしが親御さんに「この子は、高校入試で勝負した方がいい」と言うときは、それなりの成算があってのことだ。ただ断言できないのは、中学というのは、魔物が棲んでいるからだ。思春期に入る時期の子どもの行動はこちらの期待したように進むとは限らない。中学に入った途端に部活に入り激しい練習でくたくたになり、勉強は二の次となる子を大勢見てきた。中には内申に影響するからと、バレーなどの運動系、勉強そっちのけの指導を平気でやる吹奏楽などの部活に所属し、季節の休みも返上して、中3の2学期まで部活動に拘束される親子をみてきた。そういう親子は内申の不安を口にするが、部活動の部長の言いなりになり、受験に失敗する結末を敢えて選んだとしか思えない。受験勉強を満足にやってないのだから、いくら内申がそれなりに取れても上位都立に受かるわけもないのだ。それでも敢えて、無理とわかっていて、高い都立を受ける。内申がそれなりにあるという自負、その裏には自分を高く評価してもらいたいという見栄が見え隠れする。そして当然のように落ちて親子で涙に暮れる。多くは望まぬ私立に行くしかない。そこから大学で復活する子もいるけれど成功するのは0.1%もいるのだろうか。部活=破綻でしょ。
おそらく中学生で部活は適当にやって勉強を軸に生活を回して、将来上位都立に成功するのは全体の5%ぐらいなのではないか。30人クラスなら1か2人であろう。いや5%もいないか。27年戸山合格者の学校は、中野区にあり、中3は、160人ほどいた。その学校にして、都立の最高が、戸山でしかも1人だけだった。ほかに上位都立に受かった生徒は一人もいなかった。5%は言い過ぎであった。1〜2%ぐらいか。戸山クラスに入るのが如何に困難なことかわかるであろう。
自分の子を、自分の子の能力を見切ることも大切である。独自校に行くほどの能力がないのに、独自校に行けないなら努力しても意味がない、と判断するのはわたしには理解できないが、それは、真面目に勉強すれば、都立三田、都立文京、都立広尾ぐらいにはに合格できると考えるからである。独自校に行けないなら私立にするというのも、なかなか理解困難である。私立と言っても、難関私立は、数学も英語も国語も独自校の遥か上を行く。中堅クラスとされる國學院久我山レベルの数学、英語にしても独自校より易しいということではない。独自校の問題は、私立のように指導要領という掟破りはしないが、手間のかかる、時間のかかる、問題作りを工夫している。それに、私立は、科目が3科目であること、定員の半分が推薦で入れること、ほかにさまざまな優遇措置を講じていること、から「入りやすさ」はある。
結局、私立に行くとは、低偏差値の、誰でも入れる私立しかない。それなら余程、都立文教、都立狛江、都立町田などがいいのは誰が考えてもわかる。だからわたしには理解不能である。私立よりはずっとましだからである。
わたしは、子どもたちがそれなりの都立をめざして努力しているのを知っている。だからなんとかしてやりたいと心から願っている。子どもの努力する姿勢には心を動かされるが、しかしその能力を踏まえて、最善の道に進んでほしいと希うばかりでる。だから独自校がだめなら三田、文京、町田、広尾でもいいじゃないか、と思う。低偏差値私立がいいとはとても思えない。
私は高校入試が専門と言ったが、正確には、わたしは高校入試の勝負師である。子どもから親から、「開成を受けたい」「筑駒を受けたい」「慶応女子を受けたい」と言われれば、「この子は受からせなければ」とわたしが決断したとき、私は勝負師となる。そういうときのわたしは、いちも次に打てる手を考えている、だから、充足感に満ちているのだと思う。懸命に頑張る子どもの姿に心打たれるとき、わたしの全生命を、全生活をその子の合格に注ぎたい、捧げたい、と思ってしまう。
◎試験勉強の逆発想という転回
思考育成段階と既に思考力のある段階での、ある転回について
問題集の逆読み
実力をつけて問題集を解くのか、問題を解く過程で実力をつけていくのか、
高校受験と大学受験の違い
数学の勉強方法に差
凡人と天才は紙一重
真の天才と天才の差
そういうことを念頭にこれからの文章を書くことになります。
高校受験はやることが少なく、必要最低限の知識を手に入れたら、あとはひたすら問題練習でいい。これは、開成、筑駒でも変わらない。
しかし、大学入試の数学は、事情が違う。高校数学は簡単ではないからである。まず教科書を理解して、理解を本物にする必要がある。教科書だけでは、容易ではない。私は受験当時「数学IIBの技法」という500ページほどの参考書を使った。数列、三角関数、二次曲線など手取り足取りの解説がわかりやすかった。数学Iは特にやってない。対数関数や等式の証明とか、かなりやり込んだ記憶があるが、何を使ったのか、覚えていない。それからZ会の通販で買った問題と解答が1ページにまとめられて、200問ほどある「数学I・IIB」を扱った教材を20回以上回した。この時は、問題を読み、いきなり解答を読んで、読み進めた。つまり、問題を考えて解くということはなかった。ただひたすら読むだけだった。いつしか問題を見ただけで、解答、数式が頭の中で流れるようになった。さらに、新しい問題を見ても、頭の中にある様々な解答が融合して、よりいい解法として浮かぶようになった。
こうして大学入試の数学は、問題集の読み込みが、最強であるといえる。ただし、教材は選ばなければならない。正しい、かつ詳しい解答が必須である。できれば問題と解答が1ページに収まっているものがいい。最近は、解答別冊というのが多いから、そういうものがあるのか、わからない。「数学は暗記だ」の著者和田秀樹は、「青チャート」を薦めている。青チャートは、全2冊です。
国家試験はどうか。
試験にもよるが、難関試験になると、まず教科書にあたる基本書というのを自分で決めなけれならない。これだけで、500ページの本が10冊以上はある。その上で過去問をやるというのが、通常の方法である。基本書は、専門書を換骨奪胎した予備校ものを使うのが普通である。専門だけに内容も難解である。これを理解しながら通読して、おそらく数回は読み込み、その上で、過去問をやり、答練を受ける。司法試験だと論文式の答練がある。これは公認会計士試験も変わらない。
ここでノートにまとめるとか、やってたらそれだけ時間がかかるが、ノートにまとめるのが多数派かもしれない。
国家試験は、問題集の逆読みが、絶対有利である。以上に述べたように、まともにやっていたら膨大な時間を使う。それだけの時間を使ってそれに見合う効果があるのかというと消極的にならざるを得ない。
そもそも膨大な量の基本書を読まなければならない、というところから、普通ではなかったのである。人間の能力の買い被りである。難関国家試験ほど「選択」が重要なものはない。できるだけ少なく読み、真に必要な知識のみを手に入れる。専門という言葉に惑わされないで、「踏み込まない」節度が求められる。学者の領域に好奇心、専門家になるのだから、と踏み込めば、合格から遠のくだけである。試験に出ることだけを勉強すればいいのだ。
過去問題集の逆読みが、道を開くであろう。問題は読まない。解説から読むのだ。解説を読んで、問題を見る。ここから基本書にあたるか、というとそうではない。「選択」の段階で、踏み込まない範囲を画定した教材を手に入れること、その教材は、常に勉強の軸として回さなければならない。
高校受験はどうか。
数学の解けない生徒がいる。こういう生徒は、少なくとも理論は理解できる能力があることを前提として、わたしの「数学過去問撰」(通称「ベーシック」)を問題と解答セットで読み込めばいい。70問ほどしかない。これの読み込みで、都立広尾を受けた生徒は、中3の9月の模試で数学50点前後しか取れなかったのに、12月には、90点台を取っている。
高校入試の英語は、唯一後から巻き返しが利かない科目である。中3の最初の模試で50点を取ったら最後の模試まで50点である。これは不思議な法則である。中3で基本ができていなければ、模試と模試の間にがんばっても回復することなどできない。模試は7月から毎月1回はある。範囲は、中学3年間の英語全範囲である。実質的には、英文法、英文解釈、長文読解、英作文、リスニングをこなしていることである。中3で基本ができていないというので基本からやっていれば、模試を受けることは意味がなく、受験の世界から離脱するしかない。それはもはや受験は無理ということである。だから英語は、中2までに、なんとしても中3の履修範囲を終わらせて、少なくとも都立入試レベルには達していなければならないのだ。ここを踏み間違えると、高校受験は、一巻の終わりである。いいですか。英語だけは、なんとして中2までに終わらせる。これは絶対ノルマです。竹の会は、その方針のもとに小6の2月から高校入試プログラムを独自のアルゴリズムに従って実施してまいりました。その証明は、本年の開成高校、筑波大学附属駒場高校合格でできております。今のわたしには、指導アルゴリズムで迷いはありません。逸材にさえ出会えば、わたしは、開成高校合格、筑駒合格を果たすでしょう。
高校入試はわたしの得意分野です。いや専門と言っていいでしょう。東京23区、調布、国分寺、町田、川崎も竹の会のエリア内です。開成高校、筑駒高校をめざす、志し高き小6、逸材との出会いを楽しみにしております。