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高校入試考

2020.11.24

 

◎高校入試考

 今、できない自分と正面切って向かい合えない、指導を受けても、そのまま流してしまう子というのがいます。指導を受けて、自分で理解を確かめる、実際やってみる、そしてそれをノートにまとめておく、こういう基本的なことができない子というのがいるのです。字の体をなしていないと、つまり字が読めないほどに形をなしていないと、勉強など伸びるはずもないのです。
 わたしは、よく言うのですが、親はいろいろ習い事や稽古事、スポーツなどを熱心に子どもにやらせますが、もっと大切なことを疎かにしてきたのではないか。幼少時は、やはり「字」の教育だと思うのです。これは小1前後が勝負です。親が、通常は母親でしょうが、つきっきりで見てやることです。ゆっくりと丁寧に一字一字を書く癖をつける。この時期に公文に通っていたという子が、公文の方式の是非は別にして、とにかく悪字を書く例があまりにも多過ぎる。もちろん公文に通っていたという子にもきれいな字を書くはいた。しかし、悪字の子も多かった。しかももはや矯正は不可能と絶望するほかない子ばかりだった。わたしが危惧したのは、こういう子たちはいったい中学になって、授業のノートが取れるのか、教科書をまとめることができるのか、ということでした。高校になれば、さらにノートを書くことの重要性が増す。近頃は、パソコンで間に合わせるという人もいるようである。しかし、だからノートが不要とまではいかない。手、指を「使う」ということが、つまり、字形を整えながら整然と文字を書くという行為が勉強から消えるとすれば、これはなにか大きなものを失うことになるのではないか。手、指の動きが、脳を刺激し集中力を増し、計り知れない創造的所産につながるかもしれないのである。
 さて、都立中に落ちれば、区立に行くしかない。都立中の高倍率の裏返しとして、区立小を卒業した子たちのほとんどは公立中、東京なら区立中に行くことになる。この区立中の実態はどんなものか。それは都立高校、特に、上位都立高校に行ける子たちがどのくらいいるのか、という切り口で見て取れる。23区の有名都立を上げてみる。日比谷、西、戸山、青山、新宿、小山台6校と思う。良質都立としては都立国際、北園、三田、文京などもいい。
 定員は男女各160と見て、320人、6校だと、1920人、男子のみ、女子のみ、各960人である。
 23区の公立中は相当数ある。さて、上位何人がそういう高校に行けるのか。

 ※公立中生徒数

 千代田区1137 中央区1242  港区1663 新宿区2940 文京区2186 台東区2363 墨田区3690 江東区6617 品川区4349 目黒区2833 大田区10449 世田谷区9766 渋谷区1723 中野区3561 杉並区6401 豊島区2561 北区4586 荒川区2855 板橋区8871 練馬区13164 足立区13970 葛飾区8770 江戸川区13995

 ※区立中学数の例

  荒川区10 足立区37 北区19 豊島区9 渋谷区8 世田谷区31 目黒区12 江東区22 墨田区12 台東区7 文京区11 新宿区11 港区10 千代田区3
 

 大雑把に言えば、100人いて、戸山に行けるのは、1人いるかいないか、ということになろうか。
 実に、一握りの生徒のみが、そういう高校に行けるのである。中学は、実力があればいいところに行けるわけではない。内申制度で、不真面目な者、素行の悪い者は弾かれる。都立青山クラスでも、素内申45、つまりオール5が何割か受験する。中学では女子が内申が高いことになっている。27年に戸山に受かった生徒は中野区の中学であったが、その時の中3は160人くらいだったと思うが内申40以上の男子は一人もいなかった。竹の会の生徒の素内申は38であった。まあ、内申の悪い生徒たちどうしの争いであるから、実力勝負にはなる。とにかく内申が1000点中の300点ある。オール5だと丸々300点もらえる。例えば、内申オール4だと、4×4+4×5=36 換算内申32+20=52.、 52÷65=0.8  300点×0.8=240点もらえる。なんと60点の差である。500点満点に換算すると、30点の差、これは例えば、青山合格にはこの内申分を引いた点を取ればいいから、30点はかなりのハンディーとなる。内申がなければ都立は戦えない、たとえ、英語や数学ができても、内申で落ちる。
 中学は、都立受検で勉強した以上に勉強して、上記のような高校に入れるのだ。具体的な高校受験の戦略については、このブログでも何度となく書いてきたのでここでは書かない。
 公立中学は、入学した時は、戸山だ、青山だと鼻息も荒いが、たいていの生徒は部活に入り、部活三昧で勉強は先送りで、高校は底辺都立や低偏差値私立に行くことになっている。私立は今は日大系列でも事実上無試験で入れる。部活三昧でもちょっと頭があれば簡単に入れる。
 公立中学というのは、ほとんどが、勉強よりも部活で、この流れで、高校に行く。部活主で勉強は従でも入れる。底辺私立だとなおさらである。
 こうして都立トップ校には、勉強熱心な、品行方正な、優等生たちが、選ばれた人として、入れるだけである。
 都立の難しさは、内申制度もさることながら、学校の授業レベルと高校入試レベルの格差にある。中2までは、学校の授業さえついていけば成績は取れる。が、中3からおかしくなる。今の中3の内容はかつての高校1年の内容が降りてきたものだ。だからかなりレベルが高い。そして高校入試はその数倍高い。さらに、高校入試の範囲は、中学三年間の履修事項である。とはいっても、実際は中3で履習することが8割出る。都立共通校ならともかく独自問題はそれなりにレベルが高い。さらに難関私立となるとその比ではない。
 高校入試対策というのは、こうした背景、状況を踏まえた、見据えたものでなければならない。わたしは、世の親、特に母親が、学校の授業について行けば、それでいい成績が取れていれば楽観しているのが不思議に思う。もっとも何かしら不安は感じてはいるようだが、だからといって現状を変える気はない。
 高校受験は戦略である。中3になると、対数関数的な曲線でレベルが上がる。高校受験のそういう性質を知っていれば、やることは見えてくる。
 学校は何もしてくれない。責任もとってくれない。塾だってわからない。先ほどの戸山に受かった中野区の生徒は、同級生が3人大手のエナに通っていた。3人とも戸山志望だったらしい。一人は、戸山命で中1からがんばってきたという。結果は、竹の会の一人だけが合格した。しかもその中学の都立の最高が戸山だったという一つ話しであった。それは26年の駒場合格者も同じだった。彼女は、世田谷区の中学であったが、クラスには日比谷志望の女子などいて、なかなかに刺激的であった。竹の会の生徒は学年1番であったが、だから日比谷も眼中にあったが、わたしが駒場を受けるように指示した。内申だけでは受からない。とにかく入試本番に通用する実力を見切って受けるところを決めなけれならない。結果、彼女は駒場に受かり、それが彼女の学校の最高の都立になった。日比谷志望だった女子たちは、軒並み中程度の都立に都落ちした。
 上位都立に行けるか、どうか。
 竹の会の戦略を持っても全てがうまく行くわけではない。
 まず、中1で、方程式の文章題が、わからないという子が、入試で成功するのは難しいと思います。
 やはり、知能というか、地頭というか、そういうものが、如実に反映する。それが方程式なり、関数なりの文章題であると思います。
 ただ単純に知能の問題かというとそうでもない。わたしの経験では、知能が普通でも、類い稀なる努力家、というか勉強というものに真摯に向かい合っている、そういう姿勢にある子が、往々にして、中学に入って学力を伸ばしてきたと思います。私はういう奇跡を見てきました。ここでもわたしの自論ですが、筆圧のある、形のいい字を書く子というのがいいように思います。もう一つ付け加えれば、素直な、人を疑わない性格というのは、成績を伸ばす要因のように思います。
 もう一つ、これは真面目さということに収斂することだと思いますが、できなかったところを真摯に突き詰める、そういう性格が足りないところを補って余りあるのかと思います。
 合格する子、合格してきた子というのは、飽くまでも勉強に対して、どこまでも真摯に向き合っていたと思います。

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