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🟧「選」の思想

2024.12.08

🟧「選」の思想
 「選」とは、えらぶことである。つまり、選は、完全主義の否定を前提とする。人間が不完全なものであってみれば、自分の可能域にあるもの、そして重要なものから「選ぶ」という思想は、合理的なものと言える。しかも、20対80の法則から、大切なもの、もっとも使われるものは全体の20%しかないのだから、私たちは、「選」の技術を駆使して、全体の20%を選出すればいいのだ。
 勉強は、要領というのは、ここを指す。要領の悪い人は、無駄な勉強に力を注ぐ。勉強というのが、選の思想を前提とするものだということがわかっている人は、「選」を実践する。
 論理の関係にあるものは、前提から推測される知識は前提の確認で済ます。対比される知識は、一方だけ覚える。知識は、分類の基準をしっかり理解して、分類していく。分類とは、共通点に目をつけ、一つにまとめていく作業である。分類を別の言い方で言えば、抽象化ということである。知能は、抽象化のレベルの高さに比例する。子どもは、具体的に考えるから、全体が見えない。抽象的思考というのは、壮観する能力である。知識は「どう抽象化するか」である。知識を知識のままに覚えようとするから覚えられないのだ。知識は、運命的に、抽象化される。包摂関係、地理的関係、論理的先後関係、知識は様々な関係性で、意味を持つ。覚えるとは、抽象化という過程を経て、脳に納める手続きである。
 ストーリーを覚えろ❗️
 人間の頭は、物語で理解するようにできている。とにかく脳に格納するには「言い訳」が必要なのだ。
実は、記憶には2種類あると思う。1つは、固有名詞など覚えるしかない記憶だ。英語の単語などの言葉もこれになる。これは「関係」で意味づけできない。もう1つは「関係」で意味づけできる場合である。物語で記憶できるのは後者である。前者は、反復して覚えるほかないのだが、ここで有効なのは、語呂合わせである。例えば、年表は、語呂合わせで覚えるのは広く普及している。地理の都市などは、地図帳が「関係性」となる。記憶というのは、なんらかの関係性を楔(くさび)として脳に格納するのが有効であり、ただ反復して覚えるのは不確実性が高い。つまり思い出せないことが多々ある。関係性を楔にするとしても反復は欠かせない。
 記憶は脳に楔を打ち込むこと❗️
 脳には脳用の楔がある。当然「物」ではない。概念の楔である。概念といっても抽象概念を意味しない。物語が一番典型である。脳には物語が効く。
 例えば、平清盛と大輪田泊をどう覚えるか。
 まずそもそもの意味を知らなければ話にならない。
 泊(とまり)とは、「舟をとめておく。岸につく。また、その場所。とまる。とめる。ふなどまり」「泊地・停泊・仮泊・夜泊」など。
 大輪田泊(おおわだのとまり)は、兵庫県神戸市兵庫区に所在していた港で、現在の神戸港西側の一部に相当する。12世紀後半の平清盛による大修築が有名。輪田泊(わだのとまり)ともいい、古くは務古水門(むこのみなと)とも称した。平安時代末期から鎌倉時代前期にかけて日宋貿易で栄えた。中世にあっては兵庫湊(ひょうご(の)みなと)と呼ばれた。
 この文章から、平清盛が湊を大修築したことはわかる。ここから物語を想像する。港は、もちろん貿易のための船の泊である。貿易の相手は、中国、宗である。日本の何かを売って中国の何かを買う。貿易をやるのは民間人、つまり商人である。清盛は膨大な利益を実際に得ていた。貿易が盛んになると、港が手狭になったに違いない。商人の要求もあったのだろう。国家というのは、庶民から税金を取り立て成り立っている。清盛は商人から多額の税金を取り立てていたに違いない。
 さあ、これでどうだろう。これくらい物語を作り込んでいれば、もう覚えられるであろう。
 あなたたちが、覚えられないのは、物語なしに覚えようとするからだ。
 勉強は、想像力で差がつく。なにも想像力を働かせないで、ただ羅列された知識を覚えようとしても知識は活性化しない。想像力は知識を活性化させる、なくてはならない、脳の使い道である。
 書かれたことを書かれたままにしか理解しないから、テストで点が伸びないのだ。
 選の思想とは、選ぶ、絞る、裏から言えば、無駄を端折ることである。そこには、完全主義の弊害をよく弁えて、八割取ればいい、という達観がある。

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