2025.01.25
🟧現代受験論 調べ物として使う❗️
いい参考書とは、まず①薄いこと(300ページ程度まで) ②概説・概論であること ③良質の体系書であること
知識の網羅は不要です。これを求めると終わりがなくなる。さらに害悪なのは、知識は思考を駆逐することです。知識と思考は相容れない関係にあります。知識を詰め込めば詰め込むほど思考する隙間はなくなります。思考を最大にするには、ひとまず脳を空っぽにする必要があります。これで覚えながら考えるということが如何に非合理なのかわかります。覚えるという作業は考えるという作業に変換することにより単に知識を詰め込む作業からくる破綻から逃れることができます。原理、原則から概念を再構成する、定義から見直す、クロスレファランス、比較対照、趣旨から見直すなどの考える契機を入れる知識の覚え方を工夫することで、多くの詰め込みの害悪を減らすことができます。わたしなどは数学の難問を解くときは、朝誰もいないとき、シーンと静まり返った、あたかも時間が止まったかと思わせる空気の中で、問題を読みます。頭は冴え渡り、脳には、知識の欠片もありません。こうなると頭はもう縦横無尽に駆け巡ります。冴え渡った脳から次々にアイデアが浮かびたちまち問題は解き終わります。
脳はいつも空っぽがいい。何もかも忘れたほうが脳の空き容量が増える。だから人間は忘れるのだと思う。疑問なことが思考を遮るとき、そういうときは調べ物として、いい参考書があればいい。詳しい参考書はそれだけの使い方でいい。くれぐれもそのような参考書を軸に勉強することのないように。詳しいということは、思考には毒だからである。
いいですか。詳しいテキスト、至れり尽くせりの参考書は、思考には猛毒です。思考する余地を残さないテキストは害しかありません。
概説書がいいのは、鳥瞰できることもさることながら、なにしろ説明が簡潔なので、考える余地だらけなことです。行間を読む必要があるのです。眼光紙背に徹する必要があるのです。
思考というのは、定義だけ、趣旨だけ、原理だけ、あれば、あとはジグソーパズルのように埋めていくだけです。何もかも覚える、暗記するという勉強態度は、思考を殺す態度でもあるのです。俗に記憶術という、連想を駆使した記憶法がありますぐ、確かに、まるまる覚えられることは確かですが、致命的なのは、思考というものが、皮肉にも全く使われることのないことです。これは悲劇的な脳破壊工作ではないかと思います。思考というのはいつも最適の状態、つまり真っ白な脳でする必要があるのです。だから実はドンドン忘れてしまわなければなりません。思考を働かせるためには、知識が脳にあってはならないのです。人間に備わった「忘れる」という重要装置・機能はまさに思考のためにこそ用意されたものです。知識は考えるという変換装置を用いて、無意識に仕舞い込めばいいのです。考えるという変換を通した知識は同じ変換、つまり逆思考によって、蘇らせることができます。わたしたちは、あげて考える体制、状態になければならないのです。日常という装置は、普段特に考えないで済ます、つまり脳を緩める、楽にする装置です。しかし、これは突然の非日常を非日常と認識しないで、日常に取り込む、脳の怠けがまさに日常にしてしまうのです。わたしたちはこれを「正常性バイアス」と呼んでいます。つまり、人間というのは、できるなら考えないで済まそうとするのです。
子どもたちに思考力をつけるというのは、いろいろ問題なことがあります。幼いゆえの幼稚な世界の住人です。これに親が過保護だとますますその世界に閉じ込めてしまいますね。いつまでも子ども扱いすることはそういう弊害があります。
わたしはどうやって大人の世界に引き出してやるか、そういうイメージで指導します。まず抽象世界へどうやって引き込むか、ですね。もちろん脳に抽象概念を取り込むことなんですけどね。それには計算という形式的抽象世界から触れるのが一番いいと思うのです。だからわたしはまず計算のありとあらゆる思考を教え込むことにしています。これは小2からがいい。小2の間に、なんと難関中学の計算問題なんか簡単に解けるようになりますよ。子どもって無限に可能性に満ちていて、指導を工夫すればたちまちマスターしてしまいますよ。一口に計算マスターなんて言いますけど、小数のあまりのある割り算、分数、その中には、繰り上がり繰り下がり、約分、四則混合、逆算などありとあらゆる抽象的概念がとびかうのですから、計算マスターには1年かかる。もちろん小2の1年間です。3年になったら、さあ、割合概念の脳内設置です。早く来い❗️早く来い❗️ 遅ければ遅いほど手遅れになる。小5では明らかに遅い。なにしろわたしは思考人間に仕上げようとしているのですから。
受験は、遅い子はだめです。速い子が成功する。これは真理です。
だから遅い子には親御さんも、過大な期待をしないことです。ましてや受検で成功させるとか、あるいは内申の「よくできる」が8割以上ないのなら普通は受験は無理です。
高校入試を視野に基礎を徹底してつけることです。基礎とは、計算力、割合問題を解く過程を通してつける、強靭な思考力です。そこから日々の勉強のスタンスを確立することです。親が勉強ファーストの生活を壊すようなことをするからダメなんです。