画像
中学受験 高校受験 受験相談 渋谷で創立30年

「心の指導」平成9年刊無償配布中

2019.06.27

令和元年6月27日 木 曇り 夜は一時雨予報 傘の用意を!

 

 

◎「心の指導」 会員無償配布中

心の指導

 実は西岡さんには『 木に学べ 』と題する口述筆記の著書があるのです。 この本は私に生きることの意味を強い説得力をもって教えてくれました。第一編では、 西岡常一( にしおかつねかず )さんの話を引用させていただきましたが、西岡さんは1930年代から法隆寺昭和の大修理に携わり、 その後、 薬師寺の再建に着手し て、 薬師寺宮細工棟梁とし て活躍されてきた名人といわれてきた人です。 以下には、 西岡語録を引用しながら、 西岡棟梁に人生をそし て指導論をお教え願おうと思います。

( 引用部分には、『 … 』を入れました。 引用は要約し てあります。 )

 法隆寺はヒノキで造られています。 法隆寺は千三百年前の建物です。 これがちゃんと建っているのは西岡棟梁によると樹齢千年のヒノキを使っているからだということになります。『ヒノキという木があったから、 法隆寺が千三百年たった今も残ってるんです。 ヒノキという木がいかにすぐ れていたか昔の人はすでに知っておったんですわな。 』

 『 自然の木と人間に植えられてだいじに育てられた木では当然ですが違う。 自然に育った木は強い。 なぜ。 木から実が落ちてもすぐに芽を出さない、 いや、 出せない。 ヒノキ林には地面までほとんど日が届かん。 種は何百年もがまんする。 スキ間ができるといっせいに芽を出す。 何百年もの間の種が競争する。 それを勝ち抜く。 だから、 生き残ったやつは強い木です。 それから大きくなると、 となりの木、 そし て風、 雪、 雨…。 木はじっとがまんし て、 がまん強いやつが勝ち残る。 千年たった木は千年以上を勝ち抜いた木です。 』

 生きぬくことの厳しさを木に教えられる気がします。 がまん強く生きぬくこと、 ヒノキは私たちに飛鳥の昔から必死にその生きざまを、 生きることの真理を訴え続けていたのかもしれません。『 50メートルの木の高さやったら、 50メートル下まで根がはっている、 といわれている 』 

 生きるためには土台がしつかりしていなければだめだということでしょうか。 子どもは大人になって自立してひとりで生きぬいていけるように土台を築いていかなければならない。

 『( 土壌の条件 )厳しい条件のところで二千年以上のヒノキが残る。 台湾のヒノキは士壌がない。 岩ばっかりや。 風化して割れてる。 その間に水がしみ込んでいる。 ほんのわずかの水をめざしてヒノキの根が岩の間に入ってくる。 こういう条件だからこそ二千年の木が育つ。 人間も同じ。 甘やかし欲しいものがすぐ手に入ったんじゃ、 いいもんにはなりません。 木は人間に似ている。 環境と育ち方が木の性質を決めてしまう。 土地によって木の性質が決まってくる。 木を知るには土を知れ。 』

 環境とは、 木の場合は根をはる土ということです。 人間の子どもの場合は、 家庭とくに母親ということになります。人間でいえば、 環境と育ち方が子どもの性質を決めてしまう、 ということでしょうか。

 『ヒノキならみな千年持つというわけではない。 木を見る目がいる。 木を殺さず。 木のクセや性質をいかし てそれを組み合わせて初めて長生きするんです。 堂塔の木組みは寸法で組まずに木のクセで組め。 木のクセは木の育った環境で決まってしまうんです。 そのクセを見抜かなくてはいかんわな。 木というのは正直や。 千年たった古い木でもぼっとしとれば右ねじれは右にねじれてしまう。 人間と大分違う。 動けないところで自分なりに生きのびる方法を知っておるんでしょ。 木のクセのことを木の心や言うてます。 風よけて、 こっちへねじろうとしているのが、 神経はないけど 心があるということですな。 』

ページトップへ