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アリとキリギリス

2021.06.24

 

アリとキリギリス
 同じ学年に入ってきたのに、なんでこんな差が?
 アリはヘマばかりして、いつも叱られていました。アリはヘマをしても素直に謝りました。できなくてすぐ「わかりません」と聞きに来てよく叱れていました。叱られては席に戻る、「先生、どうしてもわかりません」とまた持ってくる。10分もしないで持ってくる。その度に叱られました。それてもできなくてまた叱られました。ようやく叱られながら説明を受けて、ノートにまとめる。でもノートが汚いとまた叱られました。それでも「はい、すみません」と謝ります。課題はサボることなく真面目に出しました。
 一年が経ちました。相変わらず叱られてばかりでした。でも叱られても叱られても腐ることなく、諦めないで取り組むのが、アリの取り柄でした。どんなにできなくても人の何倍も頑張っていたように思います。また一年が経ちました。アリはいつも間違ってはやり直し、延々とやり直しばかりでした。ある日、アリはまたいつものように算数に取りかかります。ある日不思議なことが起こりました。急にマルが増えてきたのです。どうしたのでしょうか。何度も何度も突っ返されてまた戻って考える、この繰り返しが、良かったのかもしれません。
 キリギリスは、すぐ諦める。考えろと、突っ返すと腹を立てる。嫌になる。放り出しておしゃべりをする。突っ返されても突っ返されても考える、ということはなかった。諦めて騒ぐ、おしゃべりをする、そうです、アリとキリギリスは根本的な勉強の姿勢が違っていたのです。
 「わかりません」と言えば、わたしの説明を聞く。それで「わかりました」とさっさと次へ進める。キリギリスは苦もなく先へ進みました。キリギリスたちは、それでわかったつもりでした。キリギリスはテキストを前へ進めることばかり考えていました。だから説明を聞くのが大好きでした。聞いてわかりましたと前へ進めるのです。
 アリは何がよかったのか。

 私にあれほど何回も突っ返されて諦めずに考えては出してきた、それが良かったのです。
 わたしは、算数を乗り越えるのは、アリのようでなければならないと思いました。突き返されるとすぐ落ちこむ、諦める、そういう子は算数の目が吹くことはない。
 何度も何度も突き放されて、それでも食いついてくる、そういう子が最後は伸びる、私はそう思いました。優しく見てやるとダメになります。特に、女の子はなかなか自尊心が高く、頭から叱りつけたらたちまち沈みます。
 アリは、正解率がグングンとあがりました。ダメでも諦めずに考えるくせが当たり前のようにつきました。
 
 みなさんは、キリギリスがかっこいいですか。
 キリギリスは、怒られたら気を悪くします。やる気をなくします。
 キリギリスはプライドが高いのです。いいですか、プライドというのは、中身のない人がプライドでバランスを保とうとするだけのものなんです。
 プライドが高いと、人からどう見られるか、ばかりを、気にします。だから、基準は人の目にあり、自分が「できる」と見てもらいたい、だから、ごまかしをやるようになる。できなくてもできたことにする。そのためには、カンニングもする。どこかで踏み違えたのです。出発はそんなはずではなかった。一旦できると思われると、周囲の称賛を裏切りたくない、だから、周囲の期待に応えようとする、だから周囲の期待に合わせようとするから、無理が出る。伽藍堂、張り子のトラ、それがキリギリスです。
 アリは強いですね。踏まれても生きてる。自分が生き残るために、実は強かでした。どんなに踏まれてもまた動き出す。へこたれない。私は、彼らには、強い生きるという意思を感じます。
 自尊心、プライドというのは、不要です。自分に自信が持てないから、外面を保つためにプライドだけが意味もなく高いのです。本来人がどう思うかなど考えている余裕などないのです。アリは必死なのです。生き残るために必死なんです。
 それでもあなたはキリギリス型の生き方を選びますか?

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