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仕掛け!

2022.08.29

 

仕掛け!
 問題は、「仕掛け」である。
 「仕掛け」なら、手口は、限られてくる。試験勉強とは、「限られてくる必然性」を知ることなのだ。いや、必然性に焦点を当てた勉強でなければならない。必然的知識を知っているか、だ。
 仕掛けは、限られている。勉強とは、仕掛けを学ぶことだったのだ。いくら出題者が経験豊富な知恵者、しかも三人寄れば文殊の知恵としても、仕掛けには、限りがある。超難問を仕掛けることはできないのだ。基本を試す、これがコンセプトのはずだ。私たちは、体系的に並べられた知識を覚えるのでは、通用しない、ということを知るべきであった。問題というのは、仕掛けに構成しなければ、ならない。それは、知識の組み合わせである。だから知識をどう組み合わせるか、が大切である。
 過去問は、仕掛けというものはこうだ、と教えてくれる。
 勉強の単位は、仕掛けである。基本書を隅から隅まで読むのは、愚の骨頂のやることである。昔は、そういうやり方を金科玉条の如く叫ぶ指導者ばかりだった。
 さて、こうして、勉強というのは、知識の組み合わせを学ぶことだということが明らかになった。組み合わせは、仕掛けの内容に着眼した表現である。
 本を読むとは、どのような仕掛けが可能か、組み合わせを考える精神行為と言ってもいいだろう。
 クロスレファランスという言葉がある。本を読むとき、関連事項が書かれてある、他のページを参照しながら読むことをいう。これは本を立体的に理解する手段である。制度というのは、様々なパーツの組み合わせであり、学ぶ、いや理解するのは、如何なるパーツを組み合わせて1セットの制度として設計しているか、ということに尽きる。だから、試験は、その組み合わせの構成を訊いてくるはずである。組み合わせというとき、それぞれのパーツは、必然的な結びつきがあるのが普通である。もし必然性がないとすれば、政策的配慮で組み合わせセットに入れたという場合である。
 組み合わせセットには、使用順序が、組み合わせの本質から決まっているのが普通である。まず時系列の順に従う。次に、組み合わせセット間の論理的関係にしたがう。そして政策的な考慮に基づく優先順位というものがある。あるいは、無駄を省くという経済的視点からの例外もある。
 いろいろと懸念を述べてきたが、この論述の目的である、何を勉強するのか、ということ、これが曖昧だから、試験に跳ねられるのだということ、ただ漫然と本を読み、理解を前提に知識を仕入れたとしても、それでは永遠に受からない、ということ、を分析的に述べてきた、ものである。
 ここで、キィー概念となるのは、やはり「組み合わせ」ということではないか、と確信している。考えるとは、組み合わせをあれこれと考えてみる、ということだったのだ。試験というのは、理論を単体で出してもこれほど面白くないものはない。出題当局も一問一答なんか出しても、受験者の能力を測れないことはわかっている。基本の理論を組み合わせる、組み合わせしか出しようがないのである。だから、過去問を分析するというのは、何と何をどう組み合わせたか、という視点から見ることである。
 ここで、明らかになることがある。難関試験にしても、基本事項の組み合わせにすぎない、過ぎなかったということである。決して特別な知識、特殊な知識を問う形式にはなっていない。基本を学べ、というのは、基本の組み合わせ方を学べ、ということである。基本をバラバラに学んだだけではダメということだ。基本というのは、組み合わせることで、意味を持つ。組み合わせ方次第でいくらでも難しくできるということだ。対策は容易だ。単体の知識ではなく、組み合わせた知識をセットとして学ぶことである。
 さらに言えば、知識というのは、単体で覚えるのではなく、クロス(交差)させて頭に入れる、ことがポイントになる、ということである。
 対照させる、比較する、そこから共通点を見出す、そうすれば相違点がより明確になる、これがクロスの思想である。比較というのは、基本2つの比較である。3つを比較するのは、本質的に無理である。人間は、同時に一つのことしかできない。そして、比較も、同時に2つの比較しかできない、のである。
 演繹的か、帰納的か、という発想ではない。前者は、体系から個々の事実に、後者は、具体的事実から体系に、と迫るものであるが、そういう学問の方法ではない。ここでは試験対策としての勉強について述べているからである。
 組み合わせて、学ぶという方法は、試験に特有の対策の意味がある。
 一問一答ではない。
 過去問は、出題者が、どのように組み合わせたか、を知るのに役立つ。
 意地悪く言えば、出題者の手口を知ることができる。
 だから、勉強、いや試験勉強は、当局の手口を学ぶことを軸としなければならない。

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