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細部にこだわる勉強の致命的欠陥

2023.02.01

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細部にこだわる勉強の致命的欠陥
 細部を判断基準とする、と全体を見失なう。下手をすると、何を勉強しているのか、わからなくなる。これは、かつて我妻榮「民法講義」シリーズを読み進めているとき、陥った経験がある。なにしろ「総則編」だけで600ページ-ほどあった。「物権法」「担保物権法」「債権総論」「債権各論」(4巻)とあるのだから、読み通すのは、至難なことであった。今なら迷わず我妻榮・有泉亨著「民法(全3巻)」を選んだことであろう。概説書で、大まかなアウトラインを得てから、詳細な体系書を読むのが、いい方法だということは、よく考えればわかることだが、轍を踏まなければ実行しないものだ。
 大学受験でも同じことが言えると思うのだが、これには私の経験から成功哲学というものがある。
 大学入試は、参考書というか、基準テキストを「限り」、それをひたすら繰り返すことで、合格水準に到達する。
 いや、翻って考えて見れば、司法試験も、いや司法試験だからこそ、大学入試と同じ方法でよかったのか、と思う。ただ司法試験には、基本書を「限る」ことが、なかなかに難しい、という側面があるだけであり、ここさえクリアできれば、与し易いと思う。
 それでは、高校入試、中学入試は、どうなのか。
 中学入試は、理科、社会は、小学特有の出題分野というものがあるが、それとしても正直都立高校の理科・社会よりははるかに詳しい。もっとも難関高校の理科・社会は別であるが。
 仕事柄、全国の大手と言われる塾のテキストはいろいろと手に入れて、検証することがある。小学生の場合、特に、進学塾の理科・社会のテキストは、検証している。
 高校入試については、大手のやり方と全く違うので、いろいろ手に入れてみたものの、参考にするというか、役にたったものはなかった。開成や筑駒には、もっと別の方法が有効であり、この方法は大手に通う人たちには、少なからず脅威となるものであろう。ただ河合塾の英語と国語は、かなり読み込んだかな。

 数学は、正直竹の会だけで間に合っている。と言ってもわたしは全国の過去問を逐一調べて良問を漁るやり方なので、この点は、過去問素材のテキストを資本に物言わせて編集する大手塾と、すくなくとも本質は変わらないかもしれない。ただ違うと言えば、竹の会では、数学については、すべて私の考えた、オリジナルの解法だ、ということであろうか。竹の会では、伝説的に、数学に効く特効薬的レジュメがある。去年広尾に受かった生徒は、夏頃の模試では、数学50点前後だったが、竹の会の「入試数学ベーシック」を7回繰り返したあたりから、右肩上がりに急上昇し始め、12月の模試では、90点を取っている。これはこれまでの竹の会の生徒がみな「ベーシック」を終わると数学が途端に点が取れるようになることで、竹の会では、垂涎のテキストとされている。
 「入試数学ベーシック」は、もともと平成10年頃に発刊した「入試数学ベーシック 100問」を元に、平成17年から19年にかけて、問題のレジュメ化と既存の手書き解法、新たに創作した新解法をレジュメ化したもので、精選70問について、解説するとともに、入試で使われる数学の必須知識及び解法テクニックを網羅したものとなっている。つまり、この書には、高校入試数学のすべてが入っているのだ。2022年筑駒・開成合格者が、使用したものであることはもちろんである。数学指導40年の私の最高傑作の一つとなることはもちろんである。
 ちなみに、竹の会には、「入試数学ベーシック」に匹敵する、幻の名著と言われた伝説のテキスト「英語ポイント集」を慶應女子対策として書き直した「入試英語指導案」がある。平成27年戸山合格(後に一橋大進学)の生徒が、國學院久我山高校入試で、このテキストだけで英語90点超を取ったという折り紙付きである。もともと旧著「英語ポイント集」は、そのような立ち位置にあったことが、伝説の名著と言われた由縁である。
竹の会には、中学3年間の英語を1〜2か月で終わらせられる定番テキスト「新英語指導案」がある。英語はまずこれをマスターしろ、ということであるが、その前に英語レジュメ1000枚訓練がある。
 ところで、中学受験の理科・社会について、小学生には、過酷な知識量だ、と思う。これをそのまま、理解は前提とはするものの、全部覚えなさい、というのは、いったい小学生に何を期待しているのか、ということにもなる。
 細部にこだわると小学生も行き当たりばったりのただ暗記しているかどうかだけが問われる勉強になってしまう。
 だからまず幹を作りあげることだ。幹とは、具体的には、全体を概説するテキストを読んで得られるストーリーのことである。骨格となるストーリーのことである。
細部は、幹との絡みで覚えていく。細部を照らし合わせようとするストーリーとは、幹のことである。常に幹から判断する。言い換えれば、全体から見る、そういうことです。細部は、分類、つまり共通項でまとめて、上位概念に抽象化する。
こういう勉強をしていかなければ、ひたすら知識を追うだけの、思考の欠片もない勉強に成り下がってしまう。
 膨大な知識を知識としてそのままに覚えようとしてはならない。
 必ず幹となるストーリーとのつながりで、意味づけ、位置づけて、細部を理解することである。 
 理科・社会については、中学入試の方法と、高校入試の方法に差があるわけではない。もっとも、都立高校の理科・社会については、重要なものに「限る」から、ずっと楽かもしれない。私立難関高校の理科・社会は、中学入試とは比較にならない難しさがあることは別論である。
 いずれにしても問題は、細かい知識の扱いであり、幹を作る、ストーリーを作る、という基本的アプローチは変わらない。

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