2023.12.09
🔛「自分探し」をする若者たちの深層に宿るもの
「自分探し」の旅とは、本当の自分を探す旅である。前提として、「今の」自分は、本当の自分ではない、ということである。「今の」自分は、フリーターをしながら日々の生活を生きているが、おカネが貯まったら、自分探しの旅に出るのだ、という話しをテレビで見たことがあった。このように「自分探し」の旅に出る若者は、今において不遇である。あるいは、不遇になったから、「自分探し」の旅に出るという人もいるかもしれない。
わたしは、この「自分探し」という言葉には、なんとなくであるが、違和感を感じてきた。いったい若者は、こんな言葉をどこで知ったのであろうか。そもそも誰が言い出した言葉なのであろうか。確か昔朝日新聞の記事で見た気がするが、その当時には、もう普通に使われていたのだろうか。
自分探しというのは、今の、今の境遇の自分は,本当の自分ではない、本当の自分はもっと評価されてもっといい境遇にあるはずだ、というところから、来ている。
これは、自分の中には、ダイヤモンドの原石がある、と信じているところから,来ているという説がある。その原石さえ見つかれば、自分はもっと光るというわけである。
こういうタイプの子が、昨今増えてきた。
今は、できない。海のものとも山のものともわからない。しかし、私の中には、隠れた、光る原石がある、というのだ。
本気でそう思い込んでいるらしい。そして、それが自分の本来の個性と考えているらしい。
ちょっと待てよ。個性とは、「他者との比較のなかで自らの独自性に気づき、その人間関係の中で培っていくもの」(土井隆義)ではなかったのか。「あたかも自己の深淵に発見される実体であるかのように、そして大切に研磨されるべきダイヤの原石であるかのように感受されてい」(土井隆義)る。「その原石こそが、本当の自分というわけです」(土井隆義)。「私にだってダイヤの原石が秘められているはずだと、さしたる根拠もなく誰もが信じているのです」(土井隆義)。
わたしは、長い間、昨今の子どもたちが、自分の現状からはとても考えられない夢を追うのを見てきました。
夢を追うことそのものは少しも非難されるべきことではありません。
この子たちにとっては,今成績が悪いとか、国語能力が低いとか、算数ができないとか、そうした事情は少しも問題にはなりません。なぜって、この子たちは、「他者の存在が希薄」なのですから。世の中には、「オレ様」しかいないのです。彼らは、「本源的に自己に備わった実体というものがある」と信じており、「その発現過程として個性を理解する感受性」をこそ個性そのものととらえている。
成績という実体が伴わないのに、高望みする子の心理は、「他者の希薄」であり、裏から言えば「自己評価が高い」ということである。
煽てられて育った子どもたちが、今の子どもたちである。
「両親からも、祖父母からも、また学校でも、近所の大人たちからも、彼らはほとんど叱られていない。褒められて、煽てられて育っている。子どもたちを、喜ばせようと、大人が一生懸命に、考え、頻繁にそういったイベントが開催される。そこで大人たちは写真を撮り、子どもたちに希望を与えた、と陶酔している」(森博嗣)。
若者たちの、多用する「むかつく」という表現について
怒りの矛先をしめす目的語を必要としない自己完結した表現」であって、「そこでは、そう感じてしまった自分の感覚(感受性)こそが、ともかく優先される」(土井隆義)。若者たちは、「自己の深淵からふつふつと湧き上がってくる自然な感情のあり方こそ、自分の本当の個性であると考えている。それに依拠する直感は今この瞬間にしか成立しない刹那的なものであり、それこそ刹那刹那で変化することになる。しかし、彼らは、個性とは、一貫したものだととらえていたのではなかったか。個性とは、自己に備わった持続性・統合性・一貫性のあるものととらえていたのではなかったか。見事なパラドツクスである。「本当の自分」がわからないというのは至極当然だったのである。個性を不動のものと想定して,その個性は自己に内在する実体から発現してくるものであり,それが刹那刹那に変化する感受性であったというのであれば,まさに「自分はどこにいるの」ということになる。若者たちが考えている自分はほかでもない感受性のことであったのだ。「むかつく」という感受性で自己完結してしまうのが若者の言う個性であり,そんなものは実はどこにもない。
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