2023.12.02
🔛📴読解の本質
ここでは、受験対策としては、シンプルに考えたほうがいいと考え、わたしは、読解とは、「言い換え」だ、と定義し、実際の現代文検証していきたい。
「言い換え」論
言い換えと言ってもそれほど単純ではない。例えば、Aという文の次に、Bという文が来たとして、BがAの言い換えということも多々あることであろうが、どうしても「言い換え」としては「繋がらない」こともあろう。
その場合は、「言い換え」が、どこか別の場所にあるのではないか、と一応探してみるが、元の文から「離れて」言い換えの文があるとは、通常は考えにくい。
現代文には、言い換えのための様々な仕掛けがある。
筆者が、概念を定義(自己解釈)することがある。
Bという文は、もしかしたら、その定義に基づけば、という前提があるかもしれないのである。この定義文によって、AとBの文が「繋がる」こともよくあるのである。もし文中に定義文(著者の価値観)が出てきたら、その後の解釈(読解)は、度にその定義文によって翻訳にしなければならない。
「言い換え」による繋ぎとは、ある実体Xがあり、その実体Xは様々な言い方(表現)で表すことに他ならない。つまり、Aと表現されたものの実体をXとすると、XをBと表現した場合、AをBと言い換えた、という。この時、AとBの意味的ない近似性を考えるのか、Bの表現の根拠となった定義を考えるのか、という話しである。
さて、ここまで話して来ると、もうお分かりになる人もいるかと思いますが、定義とは、実体Xについての、筆者の見解ということになります。定義というと何か一般的・客観的なものと捉える向きもあるかもしれませんが、要するに、実体Xに対する著者の見方、ある価値観からの規定ということです。
わたしたちは、言葉の世界に生きている。人間がゴミと認識するからゴミ問題がある。人間が言葉でゴミ問題を作っているのである。
さて、こうして、読解とは、正体Xの著者の見解(それは往々にして正体に対する定義付けとして行われる)の弁証を追うことである。そうなると著者は常に正体Xを見ている。著者は、正体Xについて、様々に表現するであろう。だから著者は、表現を言い換えるのである。同じ表現を使わないのは、当たり前である。自分のした表現をさらにわかりやすく具体的に言い換えてみる、言い方を変えてみる、視点を変えて述べてみる、反論を踏まえて表現してみる、さらに抽象度を増して表現してみる。著者は、常に「正体」を見ながら言っている。
これは大切なことである。大学入試の現代文を読むとわかるが、言い換えの表現を見比べるだけでは、何を何に言い換えたのか,さっぱりわからない。正体が見えないのだ。ただたくさんの表現はみな一つの正体について述べているのだから、そうした表現を比較して正体に迫ることはできる。むしろそれが常套手段と言える。
もし先に正体が何かわかってしまえば、私たちは、著者が見ている正体について著者の表現の変化をふむふむと読むことができる。
さて、こうして、わたしの分析から、読解とは何かが見えてきたのではなかろうか。
正体X
これは、ある時代の支配的考え方を規定している科学的認識体系または方法論(研究社版新英和中辞典)である。
それは、通常パラダイムと呼ばれるものである。
ある時代のある人が、例えば学歴主義という支配的な考え方について、それを規定するのが、能力主義や科学の発展といった認識の枠組みというわけである。
著者のパラダイムが、わかったら、問題はすらすら解ける。
小説の解き方
主人公の心理を問う問題について
まず、私たちは、言葉で書かれた情報のみを根拠に問題を解かなければならない、ということである。言葉で書かれたこと以外を判断の根拠にしてはならないのだ。その場合に、あなたの意見を聞いているのではない、ということです。そのような問題状況のとき、10人いたら8人ほどが「こうだ」と考えるだろう答は何ですか、と聞いているのである。
かつてクイズ100人に聞きました、という番組があったが、それと同じ論理である。竹の会にも教室全体で出演依頼があったことがある。もちろん断りましたが。さい、始祖鳥は鳥ですか、というクイズに対して、例えば、恐竜と答えた人が、100人中60人いて、もっとも多かった場合、これが正解になる、という話しである。正解は、100人中最も答えの多かった答えである。正しい答えではない。ところが、受験の親や子は、正しい答えがあると勝手に勘違いして、自分を文中の立場において、自分ならどう思うかを考えて答を選んだり書いたりする。これが国語を誤解した親子が国語が伸びない原因である。小説問題にもともと正解なんかあるはずがないのだ。だから出題者は、文に出てきた言葉だけを根拠にして、100人いたらこれと答える答えは何ですか、と聞いているのだ。考えるのは、常識的な見解である。あなたの特殊な感情ではない。
受験国語の小説も同じ論理である。もともと正解なんかあるわけがない。感じ方なんて人によって違うだろ。そうではなくて、そういう状況のとき、10人いたら7人がこれだと答える答えを選べ、記述せよ、と言っているのだ。
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