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竹の会回顧録(平成20年)~素直さと約束を守る心~

2015.10.28

 

★都立桜修館中等教育学校・合格(男子)A君

 

平成20年の1月中旬であったか。

竹の会では本番直前の適性過去問による最終チェックが連日実施されていた。

 

当時の私にはなんともいえない嫌な予感があった。

それというのも答案には白紙がやたら多かったからだ。過去、直前になって、そのような白紙答案というものは見たことがなかった。水準にあると思った3人の中で唯一白紙答案を出さなかったA君が、センスのいい答案を書いていたことが救いであった。

しかし、いくつかの白紙答案を見たとき、私は最悪全滅もありかなと覚悟した。

 

思えば、夏の過去問実施でほとんど白紙答案ばかりで、過去問を使えなくなり、竹の会伝統の過去問指導を不可能にしたことがすべての始まりであった。過去問を1問1問レジュメに説き起こしての指導が始まった。それでも消化率が悪く、やらないままのレジュメが大量にため込まれた。

 

その中にあってひとりA君は必ずその日のうちに、課題は次の指導日にと遅れることなく出してきた。その出来ばえもなかなかのもので、その能力の高さを窺わせた。

 

期待していたもう一人は、能力は高いのだが、どこか受検に気を入れていないところがあった。最後には塾をさぼり、私の指示もどこか手抜きで言うとおりにやらなかった。

期待していた最後の一人も、レジュメをため込んで先送りし、またスポーツとの両立を図っていた。

 

白紙答案を出すということは、出している本人を自信喪失にと追い込む。

直前の白紙答案というのは、避けがたいひとつの結果を暗示していたのだ。

 

A君は家では私のことを神様のように慕い、先生がいったからと、土日も復習・やり直しに没頭し、先生が次に出せといったからと、夜遅くまでがんばり、約束を守ったということだ(後日お母さま談)。

私が指示したことを素直に100%履行した。

そのことが合格後、お母さんのお話でわかった。

彼は入会が遅かったので、自分が入会前にやっていたレジュメを私に「欲しい」と願い出て、大量に持ち帰り、あっという間にやりあげてきた。

他の子たちが2ヶ月も3ヵ月もやらないでためこんでいたレジュメを、彼は必死でやり遂げて出してきたのだ。

 

本番直前に白紙答案しか書けない状況ではまず合格はない。

私はレジュメの出来を見て、次の対策・対応をとる。だから、課題として渡したレジュメが3か月も返ってこないというのは、指導が3ヵ月間停止したままということだ。1日の指導で次の指導が活きる。そのまた次の指導で、その次の指導が活きる。そういう繰り返しができないのだ。今指導中の子どもたちでも、私がいったん出した課題を何か月もためこんだり、やらないままに流したりする子が複数いるが、それは指導停止を意味している。

 

そういえば早くから出していた「入試読解」をやって出してきた子は、今のところ小5の女子1人だけである。他は全く出さないか、何回かやってそのままだ。

読解がとれないといことが、過去問練習でわかった今、指導停止の継続が悔やまれる。指導に100%従うというのが、竹の会に入会したときの約束であったはずなのだが。塾で私の出した指示を放置しておいて、自分で「これをやっていいですか」と断って指示以外のことをやるのも結局は自殺行為である。

 

そして、A君は見事に合格をきめた。

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